2015.02.06

識者7人が警告「日本サッカー、今そこにある危機」

  • text by Sportiva
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 決定力のなさ、大事なところで点が取れないのは、4大会連続でU-20W杯出場を逃すなど、年代別代表の各カテゴリーで、世界を経験していない選手が多くなっていることが影響しているのではないか、という意見もあった。

川本治氏(解説者/元古河電工監督、ジェフユナイテッド市原強化部長など)
「アジアカップではUAE戦に限らず、他の試合でも、たくさんのチャンスがありながらゴールを決め切れない場面が目立った。そこはもう、日本人選手のクオリティーの問題。すべてとは言わないけど、それは下のカテゴリー、U-17とか、U-20などで世界大会出場を逃して、世界での厳しい戦いを経験していない選手が増えていることも、少なからず影響しているような気がする。

 振り返れば、1990年代後半から2000年代にかけて日本代表が強くなっていったときは、中田英寿や松田直樹、小野伸二や高原直泰など、U-17W杯、U-20W杯などを経験してきた選手がA代表に入って、それで結果を出してきた、という流れがあったと思う。しかし今の代表メンバーで、U-17、U-20、さらに五輪と、すべてのカテゴリーで世界を経験している選手はいない。それが、A代表の弱体化につながっている可能性はある。

 そういう意味では、日本は今一度、下のカテゴリーの強化を高める必要がある。そして、そのカテゴリーにこそ、国際経験豊富な優秀な指導者を招聘してもいい。それが、選手だけでなく、日本の指導者の育成にもつながっていくのではないだろうか」

 川本氏が指摘する「若年層の強化」については、「決定力不足」に続いて問題視する声が多かった。

福田正博氏(解説者/元浦和レッズコーチ、元日本代表)

「アジアカップ敗退後、何人かの選手が言っていましたが、日本代表が強くなるためには、チームが活性化していかなければいけない。それには、若い選手が代表メンバーに選出されて、主力メンバーを突き上げなければいけないが、現状そういう選手が少ない。それが今回のアジアカップでよりクローズアップされた問題だったと思う。今の主力メンバーを脅かすような存在が、20代前半の選手たちからもっと出てこなければ、(日本代表は)今後も変わらないし、より厳しい状況に追い込まれてしまう。協会も含めて、サッカー界全体が、危機感を一層持たなければいけないと思う」

 福田氏はまた、代表の強化においては、日本代表の"チーム"としての経験値を上げることも重要だと語る。

「多くの選手が欧州でプレイするようになって、選手個人の国際経験は上がっているが、日本代表の"チーム"としての経験値はまったく上がっていない。W杯に出場すれば、いろいろなタイプの国と試合をしなければいけないわけで、日本代表の強化を真剣に考えるならば、チームとしての経験値を高めなければいけないと思う。そのためには、強化試合や親善試合などは、日本ではなく、欧州で行なうべきだろう。そうすれば、代表チームの国際経験は間違いなく増すし、対戦する相手のコンディションもいいから、チーム強化にも最適。実際、代表メンバーも欧州でプレイしている選手が多いので、わざわざ日本に帰ってくる必要もない。本当に世界で勝とうとするならば、そこまで踏み込んだ強化をすべき。今やそういう時代になってきたと思うし、具体的な強化策を考えていかなければ、世界との差がどんどん広がってしまう」