オーストラリア戦で見たいのは華麗なパスワークではない (2ページ目)

  • 飯尾篤史●文 text by Iio Atsushi 山添敏央●写真 photo by Yamazoe Toshio

 パスをつなぎながら、スピーディなアタックを仕掛けて来ようとしたホンジュラスとは異なり(多くの場面で日本がプレスの網に引っ掛けた)、オーストラリアはこれまでの対戦が示すように、ロングボールを放り込んでくることが予想される。

 タイプの異なる相手とどう戦うか----。これが、オーストラリア戦のポイントだ。

 4−3−3を採用するアギーレジャパンにおいて、アンカーのポジションは攻守において重要なカギを握っているが、その役割ひとつ見ても異なってくる。

 ホンジュラス戦でアンカーを務めた長谷部は、リードしている展開だったこともあり、ディフェンスラインの前で防波堤となり、中央の守備を固めることが何よりも求められていた。

 だが、ロングボールを放り込まれる可能性の高いオーストラリア戦では、そうした仕事に加え、相手の1トップ(おそらく"日本キラー"の異名を取るティム・ケーヒル)との競り合いや、センターバックが競り合った後のこぼれ球を拾ったり、カバーしたりするタスクが一層重要となる。

 オーストラリア戦でのアンカーは、長谷部、もしくは今野泰幸が務めることになるだろう。だが、「競り合い」という点を重視すれば、9月シリーズに続いて森重真人のアンカー起用があってもいい。その際、吉田麻也のパートナーとしてセンターバックに塩谷司や昌子源を起用すれば、セットプレイにおいても、「高さ」を1枚多く確保できることになる。

 相手がパワープレイを連発してくれば、アンカーがディフェンスラインに入り、3バック(5バック)に変更して跳ね返す必要性も出てくる。チームの主戦システムは4−3−3だが、状況に応じてシステムを変化させるのも、指揮官が求める「柔軟な戦い」に必要なこと----。アギーレ監督の選手起用法、ピッチ上での選手の判断にも注目したい。

 また、対戦相手に応じた戦い方だけでなく、試合展開に応じて戦い方に変化をもたせることも求めたい。ブラジルW杯で苦い思いを味わった彼らには、次のステップとして、それを求めてもいいはずだ。

「うまく行くときはいいけれど、うまく行かなかったときにどうするかが、重要だと思う」

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