オーストラリア戦で見たいのは華麗なパスワークではない

  • 飯尾篤史●文 text by Iio Atsushi 山添敏央●写真 photo by Yamazoe Toshio

 アギーレジャパンの今年最後の親善試合は、来年1月に開催されるアジアカップの開催国、オーストラリアとの対戦になる。

 オーストラリアと言えば、2006年ドイツW杯後にアジアサッカー連盟に加入して以来、W杯予選やアジアカップといったビッグコンペティションにおいて、日本のライバルとして存在してきた。

アジアカップ前哨戦に向けてチームの課題を挙げる内田篤人アジアカップ前哨戦に向けてチームの課題を挙げる内田篤人 2010年の南アフリカW杯アジア最終予選は日本の1分け1敗。2014年のブラジルW杯アジア最終予選では2分け。また、2007年のアジアカップ準々決勝では日本がPK戦の末に勝利し、2011年のアジアカップ決勝は延長戦にもつれ込むも、李忠成のゴールによって日本が勝利した。ハビエル・アギーレ監督にとってオーストラリアは、アジアのトップレベルを体感させてくれる格好の相手だと言える。

 ブラジルW杯メンバーを10人も先発させて大勝したホンジュラス戦後の会見で、指揮官は、「アジアカップに向けてのベースを見つけることができた」と胸を張った。さらに、「オーストラリア戦も同じ方向性で戦えれば、と思う」とも語っていることから、今回のオーストラリア戦では、10月のブラジル戦のように総入れ替えに近いメンバー変更はないだろう。経験豊富な選手たちの中に、柴崎岳や太田宏介ら数人の新顔を加え、アジアカップの前哨戦に挑むはずだ。

 ホンジュラス戦では、経験豊富な選手たちがもたらした「柔軟さ」や「適応力」が光った。

 遠藤保仁や長谷部誠、内田篤人など、「アギーレ流4−3−3」が初めての選手もいたのに、流動的にポジションを変え、テンポよくパスを回して押し込んだ。それでいて、相手が前掛かりになったときには、内田や長谷部がロングボールを放り込んで岡崎慎司に裏を狙わせたり、香川が大きなサイドチェンジで本田圭佑を走らせたりもした。

 ホンジュラス戦の前日に内田は、「システムとか、そういうことじゃないと思う。相手もあることだし、チームが変われば自分の役割も変わる。テスト色の濃い感じを受けているけど、選手はそんなの関係なく、勝ちにこだわったほうがいい」と語っていた。相手のコンディションやチーム状態を考慮する必要があるにせよ、そうした戦いができた点が、指揮官をして、「アジアカップに向けてのベースを見つけることができた」と言わしめた理由だろう。

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