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「香川×本田」のユニットを手放しで喜べない理由 (2ページ目)

  • 飯尾篤史●文 text by Iio Atsushi 高橋学●写真 photo by Takahashi Manabu

 さすがに4年間、代表で一緒にプレイしてきた仲だから、崩しのイメージも同じ絵が描けているのだろう。ワンタッチ、ツータッチの素早いパス交換に、ポジションチェンジも混じえ、左サイドを攻略していった。

「ずっと一緒にやっているので、やりやすさはあるし、お互いのことを分かっているから安心してボールを預けられる部分がある」

 本田は手応えを口にした。また、敵陣で時間を作れるようになったため、左サイドバックの長友佑都の攻撃参加も増えていった。

 ハビエル・アギーレ監督は、本田のポジョション変更の意図について、こう語っている。

「小林(悠)がいいトレーニングをしていたからこそ、圭佑を左にした。右での小林が良かったから、あの形にした。圭佑はどのポジションでもこなせる選手だ」

 つまり、順番としては、慣れている右サイドで小林悠を起用するという考えがまず先にあり、そのために本田を左サイドに回したということになる。

 その結果----期せずしてか想定内かは定かでないが----左サイドからの崩しにかなりの破壊力が生まれ、ザックジャパン時代にストロングポイントだった「左サイドからの崩し」が復活したのだ。

 ただし、このシフトチェンジを手放しで喜ぶわけにはいかない。大げさに言えば、フィニッシャーとしての本田を失うことになったからだ。

 左利きの本田が右ウイングに入れば、所属するACミランでも見せているように、ドリブルで中央に切れ込みやすく、左足のフィニッシュに持ち込みやすい。ところが、左ウイングに入るとそれが難しい。

 この試合でも、左サイドから中央にドリブルで持ち込むことがあったが、逆サイドへのパスや、左アウトサイドでのスルーパスにとどまっている。「代表が前進しようとするなら、自分がゲームメイクにあまり関与してはいけないと思っている。前で勝負して脅威になることを考えていきたい」と語る本田のフィニッシャーとしての脅威を削ぐことになっているのだ。

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