U-21代表が「4-3-3」を採用した最大のメリット (2ページ目)

  • 飯尾篤史●文 text by Iio Atsushi photo by AFLO

「スタイルはあまり重視していない。重要なのは良いプレイをして、勝って、上に行くことだ」とアギーレ監督が言えば、手倉森監督も「最大の戦術は勝つこと。理想のサッカーができれば最高だけど、勝てなければ話にならない。そういう意味では、勝つために割り切らなければいけないこともある」と語っている。

 もともとふたりは似た考えの持ち主なのかもしれないが、A代表とU-21代表(=五輪代表)が戦術面や選手起用において共通点が多いのは、ポジティブなことだ。アギーレ監督が五輪代表世代の選手をA代表に引き上げやすいし、引き上げられた選手もA代表に馴染みやすい。それはすなわち、A代表の底上げがなされやすいことを意味している。

 A代表と五輪代表の連携は、今後さらにスムーズになることが予想される。というのも、オリンピック予選の方式が今回から変更されたからだ。これまでは、数チームによるホーム&アウェー方式で長期間に渡って行なわれていたが、今回からセントラル方式の短期決戦になったため、A代表と五輪代表の活動が重なる機会が少なくなったのだ。

 つまり、A代表のコーチも兼任する手倉森監督が、アギーレ監督のもとで仕事をする機会が増えることになる。手倉森監督は言う。

「これまでの五輪代表監督よりも、A代表の活動に(コーチとして)携われる。それは、自分にとって好都合」

 アギーレジャパンの初陣では、さっそく五輪代表世代から松原健がA代表に抜擢された。その背景には、内田篤人が負傷中であるということ、また、アジア大会には原則として各クラブ1名からという約束事があり、アルビレックス新潟から鈴木武蔵を選出したため、松原を招集できなかったという事情があった。そこで、手倉森監督が推薦したという。

「誰かいないかっていう話になったから、マツケンっていうのがいますよって。本当は他にも何人かいたんです。(松原は)試合には出なかったけど、五輪代表世代の選手にA代表の雰囲気を味わわせてくれたのは大きい」

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