次期監督候補アギーレは本当に「攻撃的」なのか?

  • 中山淳●文 text by Nakayama Atsushi photo by AFLO

「日本らしいサッカーということで、アンダーカテゴリーでもボールを速く動かし、ピッチを広く使いながら、アグレッシブな速い攻めのサッカーをやってきた。それは間違いじゃない」

 コロンビア戦の翌日、イトゥの合宿所で行なわれたワールドカップ総括会見の檀上でこう語ったのは、原博実日本サッカー協会専務理事(兼技術委員長)だ。そして、退任が決まったアルベルト・ザッケローニの後任選びについて、その席でこうも話している。

日本代表監督に就任間近と報じられているメキシコ人のハビエル・アギーレ日本代表監督に就任間近と報じられているメキシコ人のハビエル・アギーレ「ザッケローニ監督がやってきた戦い方を、五輪、U−20、U−17でも取り入れてやっている。目指している方向性は、結果どうこうで変えるものではないと、個人的に思います」

 要するに、ワールドカップの結果で路線を変えることはせず、ザッケローニのスタイルを継承できるような指導者を後任に選ぶということである。その後、原氏はメキシコ人のハビエル・アギーレをリストアップ。すでにアギーレとは基本合意に達し、近々正式に代表監督就任が発表される運びという。

 そこで注目したいのは、監督アギーレのスタイルだ。

 そもそも、ザッケローニのサッカー自体を抽象的にしか語っていない現状において、果たしてアギーレのサッカーがザッケローニ路線なのかどうか、検証が難しいところである。ただ、少なくともファンの間で共通認識となっている「攻撃的」というイメージに焦点を絞ってみると、アギーレのスタイルとのギャップを感じてしまう。それは、アギーレが過去にスペインのクラブを率いた時代を見れば、よく分かる。

 まず、アギーレが初めて指導者として手腕を高く評価されたのは、2002−03シーズンから率いた古巣オサスナ(スペイン)時代である。

 当時エレベータークラブ(※)だったオサスナを就任初年度に1部残留へ導くと、その翌シーズンにはリーグ前半戦で上位争いをするチームにまで躍進させている。終盤で失速したため最後は13位に落ち着いたが、無名選手ばかりのチームを飛躍させたことで、スペイン国内では旋風として注目され、日本国内にもそれは伝わってきた。おそらく、原氏が指導者としてのアギーレに興味を持ったのも、その時代だと思われる。

※エレベータークラブ=上部リーグと下部リーグの昇降格を繰り返すクラブ。

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