日本ペースでもギリシャから点を取れなかったのはなぜか (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 また、長友は「クロスだけでなく、中(中央)からも崩すことが必要だった」と話す一方で、「深く引いている相手に細かいパスをつないで攻めて、(ボールを奪われて)カウンターを食らうのを恐れた」と、その難しさも口にした。

 昨年のベルギー遠征で効果を発揮したMF遠藤保仁、FW香川真司の後半からの"ジョーカー起用"も特効薬とはならず。結局、日本は攻めてはいるものの、どこか煮え切らない戦いを続け、スコアレスドローに終わった。

 試合後、多くの選手から聞かれたのは、「相手が10人になってやりにくくなった」という言葉。それが一面としてあるとしても、ギリシャに退場者が出るまでの37分間、どれだけチャンスが作れていたかを考えれば、そこにフォーカスしてしまうことには違和感がある。

 よりゴールに近い位置でプレーしてこそ、相手にとって脅威となるはずのFW本田圭祐は、下がってボールを受けるばかりだった。本来、ゴール前に飛び込んでくるはずのFW岡崎慎司は左サイドで組み立て役になっていた。これではボールが回っているようでいて、フィニッシュにつながらないのも無理はなかった。

 とりわけ物足りなさを覚えたのは、本田のプレー。ボールを受けてさばくだけでは怖くないし、それでいてあれだけボールコントロールが乱れたのでは話にならない。

 本田は、たまにペナルティエリア付近のシュートレンジでパスを受けても、次のプレーへの準備ができておらず、簡単にボールを失ってしまうシーンがあった。しかも、ボールを奪われた後の守備の反応も鈍く、数多くあったFKも決められずじまい。これでは相手にとっての脅威となれるはずもない。

 この試合が引き分けに終わり、日本の自力でのグループリーグ突破の可能性が消えた。

 長友は「いい入りができたし、全体の流れはコートジボワール戦よりよくなっている」と言う。実際、第1戦と第2戦で、どちらがより「自分たちのサッカー」ができたといえば、間違いなく後者である。ただ、それが次の第3戦、コロンビア戦での勝利を期待させるに十分なものかと聞かれれば、まだ心もとない。

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