日本ペースでもギリシャから点を取れなかったのはなぜか

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 ブラジルW杯、日本の第2戦はギリシャとスコアレスドローという結果だった。たしかに、攻めてはいた。それをコートジボワール戦からの進歩と言うなら、そうかもしれない。

 しかし、その攻撃にどれだけ得点の可能性があったかと言えば、はなはだ疑問だ。

ゴールを決めることができず、試合後、天を仰ぐ本田圭佑ゴールを決めることができず、試合後、天を仰ぐ本田圭佑 日本は7割に迫るボール支配率(68%)を記録し、シュート16本を放ち、うち11本が枠をとらえた。だが、本当に崩し切った決定機は68分にDF内田篤人のクロスをFW大久保嘉人が合わせたシーンくらい。結局、ギリシャの堅い守りを破れずに0-0の引き分けに終わった。

 試合は立ち上がりから、日本がボールを支配した。DFラインからじっくりと攻撃を組み立てつつ、ときに1本の長いパスで相手DFラインの背後を狙う動きも加えたり、自分たちのペースで試合を進めているかに見えた。

 少なくともコートジボワール戦のように、今までやったことのないサッカーをやらされている様子はまったくなかった。

 左サイドから攻撃を組み立てていたDF今野泰幸は「相手の守備が混乱しているのは分かっていたし、これを続けていればいつか取れると思っていた」と振り返る。

 だが38分、ギリシャのMFカツラニスが2枚目のイエローカードを受けて退場となると、試合の様相は大きく変化。ギリシャは10人で徹底して守備を固める策に出た。DF長友佑都が語る。

「相手は(退場者を出して)ドローでいいという状態。10人のほうがやりづらかった」

 DF吉田麻也もまた、「ギリシャが(10人になって)より守備的に来た分、ポゼッションはできた反面、崩すのは難しくなった」と話す。

 サイドから攻めても、まったくと言っていいほどクロスが合わず、シュートにすらつながらない。たまに打つミドルシュートが頼みの綱では、得点の可能性が高まるはずはなかった。

「ギリシャは中(ゴール前の守備)が強いと思っていたので、普通にクロスを上げても厳しい」

 内田がそう話したように、ほとんどのクロスはギリシャDFのヘディングにはね返され、たまに低く速いクロスを入れてもゴール前に入ってくる味方選手とのタイミングが合わないということの繰り返しだった。

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