本田圭佑だけではない。状態が悪い日本の中心選手たち (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Getty Images

 ひと言でいえば選手任せ。もし日本がブラジルW杯で成績が残せなかった場合、批判の矢面に立たされそうなのは、ザッケローニではなく発言力のある本田。そんな雲行きだ。というわけで、選手にはあまり何かを言いたくないのだが、ザンビア戦で、ここまで不安定な戦いを見せられると、残念ながらひと言、ふた言、言わざるを得ない。

 このチームで、本田に次ぐ中心選手はと言えば、遠藤保仁と香川真司になる。しかし、この2人のプレイもまた冴えないのだ。活躍したとはまったく言えない。

 香川の場合は、マンチェスターユナイテッドで出場機会に恵まれない理由が、このザンビア戦でもハッキリ見て取れた。なによりビッグクラブでプレイしている「格」というものを見ることができない。中心選手らしい振る舞いができていないのだ。中盤でボールを奪われて、ポーズを取りながらがっかりしている選手は、いまどきとても珍しい。これは後半のあるシーンの話だが、さすがに周囲から注意されたのだろう。その2~3秒後、ボールを追いかけ始めたが、チームが緊急事態に直面しているという自覚を欠く、あまりにも軽いノリのプレイと言わざるを得ない。ビッグクラブでプレイする選手らしからぬ、模範的とは言えない行為だ。

 遠藤の場合も、中心選手らしさを発揮できていないという点で香川と共通するが、動きに元気、活気がないのだ。それはこのザンビア戦に限った話ではない。キプロス戦、コスタリカ戦もしかり。衰えてしまったなという印象だ。したがって、遠藤にボールが回っても「収まった」という感じにならない。チームが落ち着かない。ワンタッチでゲームをコントロールしたかつての姿は遠い昔になっている。よって、そこから展開が開ける感じがない。ボールが相手ゴールに向かって、いい感じで進んでいく気が起きないのだ。

 本田が近いポジションでプレイすることも、遠藤の影響力が薄れてしまった原因の一つと言えるが、両者が低い位置で、生産性の低いプレイを見せる姿は、かなり痛々しい。それはザックジャパンの現状そのものと言いたくなる。

 ある時まで遠藤と長谷部誠の2人を、多くの人は「最高のコンビ」だと言って絶賛した。ザッケローニもその2人を判で押したようにスタメンに並べた。だが、その一方である長谷部は、初戦のコートジボワール戦には間に合わない可能性もある。戻ってきたところで、以前のようなプレイが披露できる保証はない。

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