ザックジャパンのワントップの座を手にするのは誰か? (2ページ目)

  • 飯尾篤史●取材・文 text by Iio Atsushi photo by Getty Images

 ワントップに関してザッケローニ監督は「岡崎も1トップを担えるし、本田も前回のW杯(南アフリカ大会)ではセンターフォワードでプレーしている」としながらも、「次の3人(の誰か)がセンターフォワードに入ることになるだろう」と語った。

 その3人とは言うまでもなく、柿谷曜一朗、大迫勇也、大久保嘉人のことだ。

「決まり事が多い。そこは監督もこだわっている」と大迫が言うザックジャパンのワントップ。守備ではプレスの方向づけを決め、攻撃においては、本田、香川、岡崎慎司といった2列目の選手たちを最大限に生かすことが求められる。

 昨年6月までそれを忠実にこなしてきたのが前田遼一だったが、彼は昨年6月のコンフェデレーションズカップ以降招集されなくなり、結局、W杯のメンバーにも入らなかった。その前田の系譜を最も引き継いでいるのが、オールラウンダーのセンターフォワードである大迫だ。

 先日のキプロス戦では大迫に出場機会はなかったが、だからこそ得られたものがあるという。この試合、左サイドから送られたクロスが逆サイドに抜ける場面が多かったことについて、大迫はこう分析している。

「あれだけセンタリングを上げてくれれば、何かしらのチャンスになると思う。自分はあそこに入るのは苦手じゃない。けっこう狙っているので、どういうところに上がってくるのか、外から見られたのはよかった。いつチャンスが来るか分からないポジションだから、そのための準備をすることが、今やるべきことだと思っている」

 一方、柿谷は、大迫ほど前線での力強いキープはないものの、より細かなコンビネーションを発揮でき、そして何より、1本のパスで裏に抜け出すことができる。相手に押し込まれたとき、一気に劣勢を覆せる柿谷は、指揮官にとって何としてもチームに組み込みたい存在のはずだ。

「サッカーにおいて、全員のプレーが良くなる、全員の足が軽くなる一番の薬は先制点。それをもっとも手っ取り早く取る方法は、前でパッともらって2タッチくらいで決めること。ただ、それだけがサッカーじゃないので、90分通した試合運びの中でもっと状況に応じたプレーができればいいかなとも思っています」(柿谷)

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