2014.06.02

豊田陽平は代表「落選」という事実をどう受け止めたのか

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by AFLO

短期集中連載・世界に挑む男たち~豊田陽平(4)

 2014年5月12日、鳥栖。豊田は自宅のソファに座り、テレビ中継を見つめていた。ザッケローニ代表監督の口から、23人のメンバーが読み上げられていった。「Okubo」。その名前に報道陣のざわめきが混じるのと同時に、彼は自分の落選を予感せずにはいられなかった。事実、FW陣におけるサプライズは彼のメンバー入りを阻むことになる。W杯の舞台に立つという願いは、そこで否応なしに断たれることになった。

<期待してくれた人たちに申し訳ない>

 最初に浮かんだ気持ちはそれだった。

5月17日、大宮戦で同点ゴールをあげた豊田陽平(サガン鳥栖) 彼はその場にいたクラブ広報に、「落ちちゃいましたけど、会見はどうしますか?」と訊ねた。「やらない方向になると思う」という返答に、彼は「会見のセッティングもして、人もたくさん集まってもらっていますから、自分の気持ちを話させてください」と伝えた。会見まで1時間近く、関係者と会話しながら、自分を客観的に見つめられるようになった。

<やれることはやったはず>

 落胆はしていたが、絶望はしていなかった。メンバー発表前の目標としていた二桁得点に及ばなかったものの、鳥栖を首位に押し上げるという結果を残していた。その自負も彼にはあった。