【なでしこ】U-17、2年前の悔しさをバネにベスト4進出 (3ページ目)

  • 早草紀子●文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 しかし、鬼門であるベスト8の壁を被り、準決勝進出が決まるホイッスルが鳴ったとき、杉田の表情は歓喜を浮かべてはいなかった。

「みんな全力は出したと思うんです。でも、自分の中でも失敗が多くて……。決めるところで決められなくて、2-0っていうのはチームとしても悔しかった」

 高倉監督同様、杉田にとっても決して満足できる内容ではなかった。

 準決勝の相手は南米で唯一勝ち残っているベネズエラ。対戦までの中3日で、どこまで修正することができるか。

「このままのチームでは難しい。劣勢になったときに何ができるか、切り返せるか、戦えるか、諦めない選手というのが必要」(高倉監督)

 通常よりも半年近く開催が早まった今大会。ここまでの限られた時間の中で、高倉監督は最大限に選手の長所を伸ばすべく、チーム構成に力を注いできた。選手個々の能力をすみずみまで分析した上で、“能力の組み合わせ”にこだわった。

 その結果、それぞれの選手の潜在能力を見出し、これまでのポジション以外にもトライさせ、複数のポジションをこなす人材を急ピッチで育てた。それは大会に入ってからも継続されており、ピッチ内でのポジションチェンジで変化をつけられるまでになった。今、そのチームは最大の成長期を迎えようとしている。あまり対戦経験のない南米チームが相手。接戦が予想されるこの準決勝を制することができれば、必ず“化ける”はずだ。どんなチームへ変貌を遂げるのか、準決勝の戦いが待ち遠しい。

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