INAC優勝で幕を閉じたIWCC。その裏で揺らいだ大会の存在意義
INAC神戸レオネッサが、国際女子サッカークラブ選手権(IWCC)で今シーズン3冠目を手にした。昨年に第1回が開催され、今年が2回目となる今大会は、日本からINAC、日テレ・ベレーザ、欧州からチェルシー・レディースFC、オーストラリアからシドニーFC、そして南米からコロコロ・フェメニーノの5チームが参加。
今大会優勝に貢献したチ・ソヨンがMVPに選ばれた 決勝はなでしこリーグチャンピオンのINACと、なでしこジャパン大儀見優季率いるチェルシー・レディースFCとの対戦になった。
初戦のシドニーFC戦同様、なかなかペースが上がらないチェルシーに対して優勢に試合を進めたINAC。10分には、川澄奈穂美のスルーパスにチ・ソヨンが抜け出して受けると、ボールを前線へ。走り込んだ高瀬愛実が決めて先制点を挙げる。28分にはゴーベル・ヤネズが倒されて得たPKを自ら決めると、73分にもチ・ソヨンが加点し3点目。このまま一気にINACが楽勝するかと思われたが、ようやくチェルシーが息を吹き返す。
80分に右のコーナーキックからレイチェル・ウィリアムスが頭で押し込むと、その3分後には大儀見のアシストからハナ・ブランデルが決めて1点差に詰め寄った。しかし、次の決定的なゴールを奪ったのはやはりINAC。左サイドを突破した川澄がスピードを保ったままゴールライン際からマイナスのパスを出すと、走り込んできた中島依美が決めた。
通常4-2は打ち合いと評されるスコアだが、実際にはINACが雨あられと浴びせた20本のシュートに対し、チェルシーはわずかに5本。この数字は、試合内容そのものを表している。
シーズン真っ只中のINACの動きは際立っていた。ボールコントロール、足元のスキル、攻撃バリエーション、球際での選択肢の数など、随所で個々の技術とコンビネーションの質の高さを見せつけていた。高瀬はサイド、トップと、与えられたポジションに自在に対応しながら常にゴールを脅かし、中島は中盤でも当たり負けせず、チャンスには前線に顔を出してゴールに絡む。攻撃の軸となるチ・ソヨンの得点力と、周囲の力を引き出す突破力は留まるところを知らず、川澄の切り返しは研ぎ澄まされていた。
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