ベルギーに勝利。最大の収穫は酒井宏樹の言葉にあり (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki photo by Fujita Masato,Noto Sunao(apresto)

「当初から、6月のコンフェデレーションズカップまではワールドカップ出場権を勝ち取ったメンバーで戦い、それ以降はレギュラーと控えの垣根なく、選手を使っていこうという考えを持っていた」

 正直、コンフェデから5カ月も経っている今、まだこんなことを口にする真意は測りかねる。10月のヨーロッパ遠征のセルビア戦とベラルーシ戦では、2試合続けて同じ先発メンバーで臨んでおいて、「垣根なく」もないだろう。

 だが、たとえ「遅ればせながら」であったとしても、こうして状況が前に進み始めたことを、まずは素直に喜びたい。

 実際、ベルギー戦で得られた収穫は少なくなかった。

決勝点となる3点目を決めたのは今回途中出場の岡崎だった決勝点となる3点目を決めたのは今回途中出場の岡崎だった 先制しながら逆転を許したベルギーは、日本に激しく応戦してきた。決してラフではなかったが、球際での競り合いは厳しく、奪ったボールをすばやく攻撃につなげる速さもあった。簡単に言えば、彼らは親善試合にもかかわらず、「かなり真剣だった」のだ。

 それでも日本はこれに堂々と応じ、前半の柿谷曜一朗の1点目の後、後半は本田圭佑、岡崎慎司が追加点を決め、リードを守り切った。3日前のオランダ戦から6人も先発を入れ替え、試合中に5人の選手交代を行なったにもかかわらず、だ。

 もちろん、手放しに喜べる勝利ではない。

 ザッケローニ監督が「相手にゴールをプレゼントするようなことはあまりしたくない。このところ、そういう形が続いている」と話していたが、この日の1点目の失点シーンのように不用意なミスがあまりに多い。

 また、攻撃面でもミスが目立ち、せっかく奪ったボールを簡単に失いすぎた。その結果、ポゼッションは安定せず、敵陣に相手を押し込むことができなかった。指揮官は「自分たちが主導権を握ってゲームを進めなければならない」と理想を掲げているが、それができていたとは言い難い。

 オランダ戦の後半がそうであったように、「ボールポゼッションで相手を押し込み、ボールを失っても高い位置で奪い返す」という戦い方が、日本の狙いとするところだが、ベルギー戦での日本は思うようにボールを前に運べず、逆に自陣でプレイする時間を長くしてしまった。これでは自陣での相手のセットプレイを増やすことにもなってしまう。実際、2点目は相手のコーナーキックから失っており、それ以外にも危ういシーンはいくつかあった。

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