オランダ戦。2得点の「充実」と、前半2失点の「悪癖」 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 ただし、この試合の日本は、前後半でまったく異なる"ふたつの顔"を見せたことを忘れてはならない。

 たしかに後半は、ザッケローニ監督が「オランダ相手にここまでの試合をするのは簡単ではない」と語るほど、オランダを圧倒した。オランダに攻撃らしい攻撃を許さず、逆に日本らしいパスワークは随所に見せた。本田圭佑の同点ゴールなどは、出来過ぎと言ってもいいくらい、まさに「日本のよさ」が凝縮されたものだった。

 しかし、前半の日本はと言うと、オランダの前線からの厳しいプレッシャーを受けてビルドアップがままならず、失点につながるミスまで犯している。ファンハール監督は「前半はオランダのほうがボールをキープできていた。2-0になったのも当然」と話している。

 つまり、ハーフタイムを境に試合展開は大きく変化したわけだが、そのきっかけのひとつとなったのが、前半終了直前の大迫勇也のゴール。ファンハール監督も「日本を甘く見て、信じられないゴールを入れられてしまった」と言い、こう続ける。

「一番の問題は前半の日本のゴール。それが精神的に大きかった」

 とはいえ、後半もオランダが同じように前線からプレスをかけ、自陣からしっかりとパスをつないで攻撃を組み立てていたら、1点を返されたからといってこれほど大きく試合の流れが変わることはなかったに違いない。

 オランダは後半、ボランチのナイジェル・デヨングがケガのために退くと、ビルドアップが急激に停滞。簡単にボールを失うことが多くなり、同時に守備でも前線からのプレスが影を潜めた。

 こうなると、日本のよさが出やすいことはコンフェデレーションズカップでも証明済みである。

 前線からのプレッシャーを受け、まともに攻撃を組み立てられなかったブラジル戦から一転、引いて守る相手に対し、おもしろいように決定機を作り出したイタリア戦のように、後半の日本はパスをつないで攻め、一度はね返されてもセカンドボールを拾い、連続攻撃を仕掛けることができた。

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