ガーナ戦の勝因は「プレスバック」。3得点より大事な危機察知の意識 (2ページ目)

  • 飯尾篤史●文 text by Iio Atsushi 佐野美樹●写真 photo by Sano Miki

 相手のセンターバックに対し、正面からではなく、横からプレッシャーを掛けて横パスを出させ、サイドで奪い取るための第1ディフェンスの役目を果たすと、自陣まで戻って相手の攻撃を遅らせた21分の場面のように、プレスバックの意識も高かった。

 これについて柿谷は、「危ないときは、とりあえず戻っている感じですね。チャンスがあれば決める自信はありますけど、たとえ攻撃ができなくても、守備で貢献できればチームは負けない。そこは徹底してやるのが大事かなって思っています」と振り返った。

 もっとも、ディフェンスに意欲的に取り組んでいたのは、柿谷だけではない。

 清武がものすごい勢いで相手の左サイドバックをタッチライン際へと追い込めば、本田も自陣深くまでプレスバックし、香川も長友のサポートに何度も回った。

 これまでの課題で最も修正されたものは何か――との質問に、長谷部誠は、「前線からの守備の部分。前線からの守備意識は間違いなく変わった。ボールを取られたあとの切り替えが早くなったし、パスコースも限定してくれている」と答えたが、その言葉はたしかにうなずけるものだった。

 もちろん、守備面に関して課題がなくなったわけではない。例えば、カウンターを浴びたとき、帰陣に遅れ、足を止めてしまう選手がいた点だ。

 先制点を許した場面では、猛スピードで自陣に戻る長谷部や今野に対し、遠藤保仁はスピードを緩め、人とスペースのどちらもケアすることができなかった。左ボランチの遠藤がゴール前に戻れば、右ボランチの長谷部はゴールを決めたアチェアンポングのケアに行けたのではないか。

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