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遠藤保仁「日本は勝ち切る力がなかっただけ。確実に成長している」 (3ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 しかし、勝てなかった。その現実を遠藤は、どう受け止めているのか。

「それは、勝ち切るだけの力が、まだまだ足りないということ。成長していないのとは違う。これからは、いい内容のサッカーをして、それで勝てるのがベストだけど、悪い内容だったとしても、勝てるチームにならないといけない。それができないと、上のレベルにはいけないっていうことでしょ」

 では、勝ち切れるチームにするためには、いったい何が必要だと考えているのか。

「いちばん大事なのは、ゴール前の攻守の質だよね。ブラジルはもちろん、イタリアも、メキシコも、ゴール前までボールを運んだときの決定力が高いし、ゴール前での守りは非常に堅い。その差を埋めていかなければいけない。今回、自分らは2試合で4点取れている。(攻撃は)悪くないと思うけど、さらに得点力を上げるために、攻撃の質を上げていけないといけない。守備は、3試合で9失点しているからね。どう守るのかというのを、改めてみんなで考えていきながら、失点を減らしていく作業をしないといけない。これだけ失点していたら、どこが相手でも勝てないんで。

 あとは、ブラジル戦のような、自分たちのサッカーができないときに、どうすべきか。これは、ブラジル戦後にザッケローニ監督とも話をしたけど、その際は、(ピッチにいる)自分たちのアイデアを大事にして、サッカーをする必要がある。それは、なかなか難しいことだけれども、これからの大きな課題になるだろうね」

 3連敗という結果に終わったが、国際経験が足りないチームにとって、試合ごとに強豪チームから突きつけられた課題は、大きな収穫となった。同時に、W杯の舞台となるブラジルで戦ったことは、貴重な経験だった。遠藤は言う。

「ブラジルという国やスタジアムの雰囲気もつかめたし、気候の違いや移動の距離とかも経験できた。それは、南アフリカW杯の1年前のときとは異なり、すごく大きなアドバンテージになると思う」

 南アフリカW杯のときは、コンフェデレーションズカップに出場できず、現地の雰囲気も世界との距離も、大会直前までわからなかった。それが、W杯本番を目前にして、スタメンと戦い方を大幅に変更するという、前代未聞の事態に至ったひとつの要因だろう。

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