コンフェデ総括。香川真司はなぜトゲある言葉ばかり残したか (2ページ目)

  • 了戒美子●文text by Ryokai Yoshiko
  • photo by Fujita Masato

 クラブ、つまりマンチェスター・ユナイテッドではまだ準レギュラーに過ぎず、監督が交代して迎える来季はレギュラーを狙うところから始めなければいけない。そのマンチェスター・ユナイテッドはサッカー界を引っ張って行く存在となるべきクラブである。だが、日本代表は違う。香川は中心選手としての結果を残していかなければならないし、チームは世界に出ればまだまだ挑戦者だということを強く自覚していた。

「トライしたけれど負けた。今までと何も変わらない」

 つまりは、何かを変えようと臨んでいたのに、何も変えられなかった、ということだ。

「僕らはすごく曖昧だった。攻撃にしても岡ちゃん(岡崎)が1人で頑張っていた。一体何をトライしに来たのか、本当に情けない。イタリア戦では、チームとしてチャレンジできていたのに、今日はできなかった」

 自身は無得点に終わったメキシコ戦後、力なく話した。「みんなにいろいろアドバイスしなくちゃ」と言うほど楽しみにしていたマンUの同僚チチャリート(エルナンデス)との対戦も、差を見せつけられて終わった。

 トゲを含んだ多くの言葉からは、香川にとって日本代表という存在が変わりつつあることが感じられた大会でもあった。

 決して周囲を批判しているわけではない。自分はどれだけできるか。それもただ得点をあげて活躍するという意味だけではなく、チームをどう引っ張っていくことができるかに、その価値観がシフトしているように聞こえた。

 その思いが今後につながれば、このコンフェデ杯も決して「何も変わらない」「得るもののない」大会で終わることはないだろう。

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