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中村憲剛が語るvsメキシコ
「前回のW杯1年前とは明らかに違う経験値」 (3ページ目)

  • 佐藤 俊●構成 text by Sato Shun
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 今大会は、3連敗でグループ最下位に終わった。これは最悪の結果だし、3試合で9失点は、反省しなければならない。

 ただ、2戦目のイタリア戦の失点は、CKからのものと、PKとオウンゴール。崩されたのは、1点だけだった。少なくとも最初の3失点は、自分たちが集中力を高めて、しっかり守りさえすれば、減らせる失点だったと思う。そのためにも、個々の意識をさらに上げて、1歩前に出る、少しでも足を伸ばすという、イタリアがやっていたことを、日本もやれるようにしなければいけない。それだけで、防げる失点は多い。そこは、守備陣だけではなく、みんなが取り組まないといけないことだと思う。

 今回、こういう大きな大会に出て、国際経験を積むことは、改めて大事だなと思った。前回の南アフリカW杯の前には、コンフェデレーションズカップには参加できなかったので、なかなか世界との距離感がつかめなかったからね。それが今回は、W杯の1年前に、公式戦でブラジル、イタリア、メキシコと戦えて、開催国の雰囲気も経験することができた。

 イタリア戦では、自分たちのサッカーをして、相手を追い詰めることができた。こういうサッカーをして突き詰めていけば、1年後、世界でも戦える、というものがはっきり見えた。その方向性をしっかり確認できたのは、すごく大きかった。

 南アフリカW杯の1年前よりも、今回のほうが充実しているし、日本が得られたモノははるかに大きいと思う。そういう意味では、来年の本番に向けて、すごく意義のある大会になったんじゃないかな。自分は、そうプラスにとらえている。

中村個人としては、試合に出られないことでストレスも抱えていただろう。しかし、周囲にそんな素振りを一切見せず、サブ組をまとめてベンチを盛り立てた。そして、少ない出場時間の中でも、何かしら手応えをつかみ、収穫を手にしていた。そのせいか、ミックスゾーンで話を終えたとき、その表情は少しばかり明るくなっていた。

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