名波浩が斬る「今の日本代表に『W杯優勝』なんてできない」

  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 6月4日に行なわれたW杯アジア最終予選のオーストラリア戦。日本は1-1で引き分けて、5大会連続のW杯出場を決めた。

 ゲームの主導権は序盤から日本が握っていた。相手のオーストラリアも前から積極的にプレッシャーをかけて、気持ちを前面に押し出して向かってきたが、それに対して日本は怯(ひる)むことなく、落ち着いて対処。徐々に香川真司と本田圭佑が相手守備網のギャップを突き出すと、ポゼッションが増して、選手個々の動きの質も高まっていった。
鋭いドリブルでチャンスを作った香川真司だが、ゴールを割ることはできなかった。鋭いドリブルでチャンスを作った香川真司だが、ゴールを割ることはできなかった。
 なかでも、香川のドリブルや岡崎慎司の飛び出しなど、相手の裏をとる動きは、テストマッチのブルガリア戦(5月30日、0-2で敗戦)に比べ、極めて良かった。パス回しも各選手が止まった状態にある"ステーションパス"が少なく、テンポのいいボールの出し入れからフィニッシュまでいくシーンが多く見られた。選手個々のゴールへの意識も高く、香川や本田、そして遠藤保仁も果敢にシュートを打っていた。

 ただ、オーストラリアの守備の巧さや、ギリギリのところで体を張ってくるプレイの前に、なかなかゴールネットを揺らすことができなかった。

 後半も、日本のペースだった。日本のボール回しの速さと、人が次々に入れ替わる展開に、もうオーストラリアはついていけなくなっていた。そのため、オーストラリアのDF陣は自陣のペナルティーボックス近辺まで下がって守らざるを得なかった。が、それでも日本がゴールを奪うまでには至らなかった。

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