香川真司「チームワークだけじゃ、世界では勝てない」
ブラジルW杯まで367日
『ザックジャパンの完成度』
連載◆第18回:香川真司
6月4日に行なわれたW杯最終予選のオーストラリア戦。日本は1-1で引き分けて、見事5大会連続のW杯出場を決めた。しかし試合後、香川真司からは弾けるような笑顔を見られなかった。
「W杯に出るというのは、子どもの頃からの夢ですし、それをホームで決められて、ファンと一緒に喜べるのはうれしいし、ホッとしていますけど......」
そう第一声を放つと、一段と表情が厳しくなった。
「個人としては、まったく物足りないです。代表でプレイする際には、すごく注目されて、結果を求められてきたけど、その期待に見合うだけのプレイができていなかった。自分がやらなければいけない状況になったときに、自分は結果を残せてこなかった。それがね......」
日本代表の飛躍は、香川真司のさらなる成長なくして語れない。 日本代表では、本田圭佑、長友佑都とともに、主役のひとりとして常に期待されてきた。最終予選には5試合に出場し、2ゴールを記録した。各試合で存在感を示してきたが、その結果と内容ともに、香川本人には不満だったようだ。
とりわけ、本田、長友が不在だったアウェーのヨルダン戦(3月26日、1-2で敗戦)は、香川にかかる期待が大きかった。自らゴールを記録したものの、チームを勝利に導くことができず、W杯出場も決めることができなかった。そして、この日のオ-ストラリア戦でも何度かチャンスがありながら、試合を決めるゴールは挙げられなかった。自身のキャリアは、マンチェスター・ユナイテッドに移籍し、プレミアリーグでの優勝も経験するなど、着実に積み重ねてきているが、代表では貢献できていない。そのギャップもあって、心の底から喜ぶことができなかったのだろう。
「代表チームに貢献できていないのは、本当に悔しい。決めるべきところで決め切れないのは、単純に(自分の)力不足。『自分以外、誰が勝負すんねん』という強い気持ちも足りてなかったのかな、と思います。特にここ1年で(自分に不足を)感じたのは、そのメンタルの部分ですね。チームの主力として『オレがやるんだ』『オレが代表を勝たせるんだ』という意識を持って、チームをリードしていくことができなかった。それは、すごく難しいことでした」
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