【日本代表】内田篤人「世界を知れば知るほど、日本との差を感じる」 (3ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 ヨルダン戦では本田と長友不在の大きさが露呈するなど、さまざまな課題が出たが、一方で収穫もあった。両サイドバックの攻守のバランスが非常に良かったことだ。

「長友さんがいないからといって、バランスが崩れたら意味がないからね。その点、(酒井)高徳は若いけど、能力のある選手。攻守のバランスはうまく取れたんじゃないかな。コミュニケーション? サイドバック同士、試合中でもよく話をしている。ヨルダン戦の前半も、左サイドは清武が絡んでガンガン仕掛けていたので、高徳には『おまえもガンガン前に行っていいぞ』って。『こっちは控えるから、おまえはバランスを考えないで前に行け』という話をしていた。逆に後半は、清武がこっちのサイドに来てリズムが出てきたんで、『高徳、ちょっとバランスを取ってくれ』と。そうしたコミュニケーションは普段から頻繁に取っている」

 真の世界レベルを肌で感じている数少ない選手である内田は、日本がこれからさらに強くなっていくためには、何が必要だと考えているのだろうか。

「やっぱり強い国と、それもアウェーでの試合経験を積むことでしょ。ホ-ムでアルゼンチンとやったけど、(相手は)みんな本気じゃないし、メンバーもベストじゃなかった。そういう国とそれなりに本気の勝負をするには、アウェーでやるしかない。個人としてガチンコ勝負で国際経験を積むことを考えたら、チャンピオンズリーグや欧州リーグに出ることだろうね。これは、すごい経験になる。で、ちょっと思ったんだけど、日本代表が(ドイツで)シャルケやドルトムントと試合してもいいと思うんだよね。原さん(博実・技術委員長)が言うには、昔はそういう試合をやっていたっていうし、今の代表もドイツに来てクラブチームと対戦してもいいと思う。そうやって、代表チームとして世界レベルの経験値を上げていくことも大事なんじゃないかな」

 W杯最終予選の次なる戦いは、6月4日、ホームでオ-ストラリアと対戦する。勝つか引き分ければ、5大会連続のW杯出場を決めることになる。

「ヨルダンに勝てればよかったけどね。でも、負けても日本はまだ首位にいるわけだし、落ち込む必要はまったくない。6月の試合に向けて、それぞれ所属チームに帰って、優勝を狙えるクラブにいる選手は優勝して、その経験とそこで得た自信を持って、日本代表にまた戻ってくればいい。そして、ホームでW杯出場を決めればいいでしょ」

 厳しい国際経験が個人の質を上げる――。身をもってそのことを感じている内田にとって、シャルケでチャンピオンズリーグ圏内を目指す戦いは、さらに自分を高みへと押し上げてくれるステップになる。そうした経験を、ひとつひとつ積み重ねていくことで、ブラジルの舞台が見えてくると、内田は信じている。

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