【日本代表】
アジア王者らしからぬ戦い。ヨルダン戦の敗因はどこに?
本田圭佑不在のヨルダン戦、トップ下は香川真司。ゴールを決めたが、いまひとつ精彩を欠いた 歓喜というより、もはや狂乱に近い騒ぎを横目にピッチから引き揚げてきたザッケローニ監督は、悔しさをかみ殺すように精一杯の強がりを口にした。
曰く、「日本に10回チャンスがあったとしたら、相手は3回。うちが勝たなくてはいけない試合だった」。さらに、「今日のようにアウェーチームが8、9、10回と、多くのチャンスを作ることは稀だ」とも述べた。
たしかに、その通りだろう。サッカーにおいて得点の可能性を高めるための最善策は、チャンスの数を増やすことだ。その点で相手を大きく上回っていたのだから、「今日の出来を考えると、もう少しうちに運が味方してくれてもよかった」と言いたくなる気持ちもよく分かる。
しかし、ならば日本代表が勝利のためにやれることのすべてをやったのかというと、とてもそうは思えない。
まずは、試合運びである。
立ち上がりから圧倒的攻勢に出た日本は、何度となくヨルダンゴールに迫り、チャンスを作った。23分に前田遼一のヘディングシュートがバーを叩き、直後の25分に香川真司が際どいシュートを放ったあたりでは、日本にゴールが生まれるのも時間の問題かと思われた。
日本選手はアウェーの雰囲気に飲まれることも、相手の勢いに押されることも決してなかった。ピッチコンディションの悪さに戸惑うことなく冷静に戦うことができていたし、実際、チャンスも作っていた。
思った以上に力の差がある。それが試合を見ていての率直な印象だった。
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