【日本代表】カナダ戦の収穫。「本田不在」でも生まれた攻撃のリズム (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 攻撃をスムーズに進められなかった原因は、おそらく守備にも一端があった。伊野波はこの日対戦したカナダを「やりづらい相手」と称し、こう続ける。

「うまくサイドチェンジされてDFが(左右に)振られ、前線の高い選手(ヘイバー)にボールを当てられた後のセカンドボールを拾われていた」

 長谷部もまた、「セカンドボール(が拾えるかどうか)は、ほとんどポジショニングで決まる。もっとセカンドボールへの意識を持たないといけないのに、そこが欠けていた」と振り返る。

 こうして日本がコンパクトな陣形を保てなくなったところで、カナダはスピードのあるエドウィニボンスーやハッチンソンが、積極的にドリブルで仕掛けてきた。長身FWとスピードのあるドリブラー。伊野波が言うように、カナダというチームが日本の苦手とするタイプだったことは間違いない。

 果たして日本は、攻守両面で自分たちのよさをなかなか出すことができないまま、2-1でどうにか勝利だけは手にするに至ったのである。

 とはいえ、こうした相手とこのタイミング――勝てば5大会連続でのワールドカップ出場が決まる、アウェーのヨルダン戦の直前――で対戦できたことは、ある意味で幸運だった。長谷部は言う。

「ヨルダン戦では(カナダ戦と同じように)押し込まれる時間もあると思うが、対応できたところや修正しなければいけないところが分かったのはよかった。(カナダ戦を経て)ピリッとした緊張感が出てくると思う」

 幸いにも、カナダ戦後半にして、選手たちの「修正しなければ」という思いはすでにピッチに表れ始めていた。長谷部が「(後半から出場した中村)憲剛さんが気を利かせてくれたことで、ショートパスをうまくつなげた場面が増えた」と言えば、香川真司も「いい形は前半より多くできた。人もボールも連動したときはいい攻撃ができていたし、そういう形を増やしたい」と話す。

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