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【なでしこ】新リーダー候補、川澄奈穂美が考えるキャプテンシー (2ページ目)

  • 早草紀子●取材・文 text by Hayakusa Noriko photo by Hayakusa Noriko

 だが、この2年で経験を重ね、主力へと成長。川澄はこの合宿で最年長世代となった。

「自分の中では一人ひとりと話したり、アドバイスをするというよりは、トレーニング中に声を出すことを意識的に増やすようにやっていました。あとは、自分がなでしこチャレンジにいたとき、当時のなでしこジャパンを見て、すべてにおいて"チーム"になっているなってすごく感じていたんです。だからこそ、あそこに入りたいっていう気持ちが強く芽生えた。今回そういうのは黄色の新しい代表ジャージを着ているなでしこジャパンのメンバーで出していかなきゃと思っていました」(川澄)。

 4年前のこの時期は、なでしこチャレンジだった川澄。今回の合宿には、なでしこジャパンとしてのプライドと、指揮官の期待を胸に、これまで以上に主力としての自覚を持って臨んだ。だが、やはりロンドンオリンピックでチームを牽引した選手たちの影響力の大きさを改めて実感する瞬間も多かった。

「パスひとつにしても、上の(世代の)人たちは丁寧で、ズレがないですし、同時にミスしたときのフォローの声もあって、自分たちでリズムを出しながら(トレーニングを)やるんですよね。声とパスでトレーニングの質を上げていくんです。自分たちだけでは、まだうまくできませんでした。

 正直、ピッチで、あや(宮間)の顔が浮かんできたり、澤さんやしのさん(大野忍)の顔が出てきたりすることもありました。『こんなときどう声をかけて盛り上げてもらっていたかな』って。もちろん私たちが技術的にまだまだ未熟っていうのはあるんですけど、それ以上に、声もテンポも出しつつやらなきゃいけないなと思いました」

 この合宿は、なでしこ入りを目指すチャレンジメンバー22名に対し、なでしこジャパンはわずか8名。3日目には全カテゴリーが合同でポジション別にトレーニングを行なうなど、通常の合宿とは雰囲気が大きく異なった。さらに4日間ではできることも限られていた。

「これは自分たちの責任なんですけど、ホテルとかでも緩さがある。ここにいるのはなでしこジャパンじゃなくて、チャレンジメンバーなのか?って思う雰囲気になるときがある。今のチャレンジメンバーがどういう気持ちなのかはわからないですけど、"なでしこジャパン"で山郷(のぞみ)さんや澤さんがいるときは、(チーム全体を)ピリっとさせるものがちゃんとあるんですよね......」

 わずか4日間の合宿で、新戦力の発掘が最優先事項となれば致し方ないところもあるが、リーダーシップを発揮するのも一朝一夕にはいかないということだ。

 川澄は今シーズン、INAC神戸で再びキャプテンマークを巻くことになった。澤、大野、近賀ゆかり、南山千明が日テレ・ベレーザから移籍してきた2011年シーズン以来だが、今シーズンのキャプテンは前回とはまったく異なるという。

「2年前のメンバーって、言ってしまえば、自分よりも出来る人が多くて、意識も高い人たちがほとんどだった。目指すべきところにみんなが向いているので、まとめる必要がなかった。監督が方向性も示してくれていたし、キャプテンとしては、必要があればちょっと動くだけでいい、みたいな。キャプテンをやっている感覚は全然なかったんですよね。でも今シーズンに関しては、全体で見るとすごく若いチーム。これはさすがに、言ってやらせるってことも必要だなと思うんです」

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