【日本代表】酒井宏樹「僕は、(内田)篤人くんのようなプレイはできない」 (3ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • 益田佑一●撮影 photo by Masuda Yuichi

右サイドバックのポジション争いは熾烈だが、酒井宏樹の出番は着実に増えている。右サイドバックのポジション争いは熾烈だが、酒井宏樹の出番は着実に増えている。 一方で、チームのことはどう見ているのか。日本代表に招集されるようになって、まだ1年にも満たないが、ザックジャパンの可能性については、どう思っているのだろうか。

「五輪代表の選手たちと、五輪代表とA代表が戦ったらどうなるか、みたいな話をしたんですよ。結論はボコボコにやられるだろうとなって、今のA代表の完成度は本当にすごいなっていうことで落ち着きました(笑)。A代表の選手は、ヤットさん(遠藤保仁)や(中村)憲剛さんのように、基本的な技術が高くて、その中で自分のスタイルを持っている。歴代の代表チームの中でも、今のA代表は本当に強いと思います。だからこそ僕は、そこでプラスアルファーを築ける選手になりたい。それが実現できれば、チームもさらにレベルアップしていけると思うので」

 1年前、酒井は「まだ自分はA代表に行くレベルにない」と語っていた。だが、1年が経過した今、代表でもやれるだけの自信が備わってきたのだろう。

「以前は、代表に呼ばれてそこで自信を失うことが恐かったんです。もちろん今も、代表にいて当然とか、いなきゃいけない場所などとも思っていません。でも、代表チームの一員でいたい、という気持ちが強くなりました。やっぱり、代表に行くと為になることが多いし、勉強になる。(代表で)通用していると思っているわけじゃなくて、刺激があって、自分がうまくなる要素を得られるから、すごく大切な場所なんです。本当はドイツで得たものを日本代表に還元しなければいけないのでしょうが、今は代表で得たものをハノーファーに持ち帰っている感じです。近い将来、それを逆にしたい思いはありますが……」

 2013年、酒井にとっては、ハノーファーでも、日本代表でも、定位置獲得が最優先事項となる。

「そうですね。代表でもクラブでも、チャンスを与えられたときに、どのくらいやれるかがポイント。すべて、自分次第ですね。とにかく、ブラジルW杯には是が非でも行きたいので、最終的にレギュラーになれればいいな、と思っています」

 威勢のいい、格好いい宣言はない。かつて柏レイソルでもそうだったように、最初は控えでも一歩ずつ這い上がってレギュラーを奪う。それが、酒井宏樹のやり方なのである。

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