【日本代表】「史上最強」と呼ばれるザックジャパン。実は心配の種ばかり

  • photo by Masuda Yuichi

W杯最終予選で圧倒的な強さを見せている日本代表だが......。W杯最終予選で圧倒的な強さを見せている日本代表だが......。日本代表の不安要素(1)

W杯アジア最終予選で順調な戦いぶりを見せている日本代表。ブラジルW杯出場権獲得が決まるのも時間の問題で、その強さに「史上最強」という声も挙がっている。だが一方で、ザッケローニ監督が就任して2年あまりが経過し、少しばかり心配な気持ちが芽生え始めている。本当に今、ザックジャパンは手放しで称えられるような状況にあるのか、そして、この状態のままでザックジャパンはW杯で期待どおりの結果を残せるのか――。
そこで今回、サッカージャーナリストの渡辺達也氏、杉山茂樹氏、浅田真樹氏に、ザックジャパンの現状を検証しつつ、チームが抱える不安要素や問題点はどこにあるのか、分析してもらった。

――日本代表はW杯最終予選で5試合を消化して4勝1分け、勝ち点13とグループBでダントツの首位です。過去に比べたら、これほど安心して見ていられる予選はありません。でも最近、贅沢な悩みなのかもしれないのですが、何か物足りなさを感じています。このままで本当にW杯は大丈夫なのか、ちょっと心配しています。

浅田 日本の実力を考えたら、今のW杯最終予選の成績は当たり前だ、と言われるかもしれないけど、前回の最終予選では今回ほどの盤石感はなかったし、日本代表は強くなっているとは思います。

杉山 確かに、過去と比較すれば強くなっているけど、何を比較対象にするか、だよね。そこを定めないと話がかみ合わない。

渡辺 W杯出場が目標であれば、何ら問題ないけどね。前回の南アフリカ大会がベスト16だったから、次のブラジル大会ではベスト8を目指すというなら、話は違ってくる。かなりの力がないとそこまではいけない。選手たちは「優勝が目標」と言っているし、そうなると、戦力自体にも疑問を感じるし、ここまでの戦いぶりを高く評価することは、とてもできなくなる。

杉山 今の日本代表の戦力と最終予選の組み合わせを考えたら、誰が監督をやったって、ちょっと下手なことをしても、今のグループで3位以下に落ちることはない。だとしたら、「ザッケローニが監督である意味は何か?」ということが重要なんだけど、その点については何も見えない。会見でも、「選手は良くやった」とか「チームはうまくいっている」とか言うだけで、自らのサッカーについての発言がまったくないからね。「あれをしたい。これをしたい」とかね。このままだとザッケローニ監督は、日本サッカー界に何も残さずに終わるんじゃないかな。代表の選手は直接指導を受けて、いろいろなことを聞いて、何かを得たかもしれないけど、代表に入っていない選手はもちろん、見ている我々や一般の人たちには何も残らないと思うよ。「あの監督は何を残した人だっけ?」ということになりかねない。何か理念を備えている監督なのかと期待していたけれども、それがまったく見えないし。

渡辺
 メンバーにしても、ここまでは完全に固定してしまっている。ケガや累積警告がない限り、新しい選手は出さないからね。「若手が伸びていない」とかって言っているけど、使わなければ伸びないのは当たり前だよ。

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