【なでしこ】注目の次世代が奮闘。高瀬愛実、永里亜紗乃、田中陽子、猶本光ら若手の可能性

  • 早草紀子●取材・文 text by Hayakusa Noriko
  • photo by Hayakusa Noriko

今シーズンの得点王となったINAC神戸の高瀬愛実今シーズンの得点王となったINAC神戸の高瀬愛実 意地の対決だった。なでしこリーグ最終戦。雨の中行なわれたのは、すでに優勝を決めているINAC神戸レオネッサと2位の日テレ・ベレーザの一戦。INACの澤穂希、大野忍、近賀ゆかりらにとっては古巣との対決であり、無敗優勝達成のために負けられないというモチベーションがあった。一方、元女王であるベレーザにとっては、すでに優勝が決定していようがいまいが、INACは倒すべき相手だ。

 前半立ち上がりはINACが優勢にゲームを進めるも、なでしこジャパンの守備の要である岩清水梓を中心にベレーザがピンチを防いでいく。しかし、徐々に守備のリズムを築きかけていた25分、裏へ抜け出たFWゴーベル・ヤネズのゴールが決まる。その瞬間オフサイドフラッグは上がったが、主審の判定はゴール。後味の悪さを残しながらもINACが先制。その10分後に、今度はチ・ソヨンが豪快なシュートでベレーザゴールをこじ開け、INACが追加点を奪った。

 後半は、この試合のもうひとつの見どころであった高瀬愛実(通算20ゴール)と永里亜紗乃(同19ゴール)の若きエースの得点王争いの対決が見られた。47分に永里の強烈なミドルシュートをGK海堀あゆみがパンチングで防げば、52分、高瀬のシュートをGK松林美久もパンチング。

「守備陣が絶対にゼロで抑えるって言ってくれたんです」と高瀬は振り返る。INAC守備陣はその言葉どおり、永里を完全に封じた。もちろん、ベレーザとて永里に得点王を取らせたい。「高瀬だけには入れさせない。これはウチら(DF陣)の意地があった」とは岩清水。

 結局、両者ともにノーゴールで痛み分けとなったため、得点王のタイトルは高瀬のものとなった。昨シーズンはわずか2ゴール。「強い相手から点を取ることができないと監督に言われます(苦笑)。だからベレーザからは絶対に点を取りたいんです」と語っていた高瀬。ベレーザからゴールは奪えなかったが、20ゴールという成績は自信につながった。「素直にうれしい。周りがいいパスをくれて、いい形を作ってくれたおかげ」と受賞を喜んだ。

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