【ヤングなでしこ】 佐々木監督も認める才能。藤田のぞみが世界の舞台で体得したバランス感覚 (2ページ目)

  • 松原渓●取材・文 text by Matsubara Kei
  • photo by Nakanishi Yusuke/AFLO SPORT

 この年、藤田はルーキーながらリーグ戦で24試合に出場してチームの優勝争いに貢献し、なでしこリーグ新人王を獲得している(優勝はベレーザ。浦和レッズは2位)。その後、レッズレディースではボランチを主戦場としており、他にもトップ下、右サイドハーフと複数のポジションをこなしてきたが、どのポジションでも仕掛けることを常に意識しているという。

「ラストパスを狙いすぎるなって、(監督に)よく言われます。基本的に、なんでも勝負しちゃうんです......。特に1、2年目は(縦パスを)狙いすぎることが多かったですし、逆に言うとそこしか見えていないというのがあったので、選択肢を持つように意識しているところです」

■昼間は仕事、夜は練習のハードスケジュール

 藤田は今、昼間はチームのオフィシャルパートナーであるサイデン化学株式会社で働いており、夜、レッズランドで行なわれる練習に向かう。一日の生活サイクルは、平日は朝8時から夕方17時まで働き、18時から練習をこなすハードな毎日だ。ひとり暮らしのため、コンディション維持や食事にも気をつかっているという。

「週3回、夕食がクラブハウスで出ているので練習後に食べます。たまに自炊もしますよ。最近は鉄分を摂るようにしていることと、ヨーグルトを毎日飲むことを習慣にしていますね。ランチはお弁当か会社の社食ですが、お昼は野菜を多めに摂るようにしています。フィジカルを上げるために、今は曜日を決めて走ったり筋トレをしています!」

 仕事、トレーニング、そして試合が続く中で、気分転換は「ショッピング」という藤田。買い物の話になると、サッカーの話をしている時の真剣な眼差しとは対照的な、20歳の素顔がのぞいた。

「洋服がすごく好きで、ファッション雑誌も読みますし、オフは車を運転してよく買い物に行きます。マイペースなので買い物はひとりです。それと、サッカー以外の競技を見るのも好きですね。中でもフィギュアスケートを見るのが好きです。同世代で尊敬するアスリートは浅田真央選手。テレビでの発言とか、ひとつ年上とは思えないぐらい精神面でプロだな、と感じます。それから、同じ島根県松江市出身ではテニスの錦織圭選手がいます。面識はなくて、勝手に応援しているだけなんですけど(笑)」

 レッズレディースで3年目を迎えた今季、シーズン前に右ひざを痛める難しいスタートとなったが、6月に復帰を果たし、コンディションは上向きだ。

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