【名波浩の視点】フランスに快勝した日本は、11年前と何が違ったのか

  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

フランス戦で奮闘した今野。最後は50mを超えるドリブルで攻め上がり、香川のゴールを演出した。フランス戦で奮闘した今野。最後は50mを超えるドリブルで攻め上がり、香川のゴールを演出した。 日本代表が欧州遠征初戦で地元フランスを1-0で撃破。11年前には0-5と完敗した舞台で見事な勝利を飾った。

 11年前と同じようにサンドニ(スタッド・ド・フランス)のピッチは相変わらず悪く、ともに足を滑らせる選手が目立っていた。その悪条件の中、立ち上がりから積極的に仕掛けてきたのは、フランスだった。多少のぬかるみなど物ともしない馬力のある攻撃で、日本を圧倒し続けた。そこには、次戦に対しての温度差というものもあったのではないだろうか。次の試合がブラジル相手とはいえ、あくまでも親善試合の日本と違って、フランスはW杯予選の大一番とも言えるスペイン戦が次に控える。そのモチベーションの差が序盤の勢いの差に表れていたように思う。

 そんなフランスの強い圧力を受けて、日本の最終ラインは普段よりも下がっていた。前半は耐えようと、意図的に下げていたのかもしれないが、両サイドバックの長友佑都と酒井宏樹がほとんど上がれないほどフランスに押し込まれていた。

 右サイドでは、清武弘嗣が相手左サイドバックのクリシーの厳しいチェックを受けて、ファーストタッチをほとんど後ろ向きで受けている状態。そのうえ、酒井の背後ではベンゼマが常に隙をうかがっていて、なかなか仕掛けていける状況ではなかったのだろう。左サイドの長友も、相手右サイドバックのドビュシーと、前線でボールの収まりが良かったメネズの対応に追われた。香川真司がインサイドに入り込んだ際にボールを奪われたときなどは、ドビュシーの素早いアクションに前線の選手のカバーが間に合わず、長友ひとりでふたりに対処するシーンもあった。

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