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【名波浩の視点】
フランスに快勝した日本は、11年前と何が違ったのか (3ページ目)

  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 それにしても、今回のフランスは、ゴール前のイメージ、イマジネーションというものが乏しかった。セットプレイには怖さがあったものの、流れの中では勢いだけで仕掛けていって、偶発的にこぼれてきた球をシュートしている印象だった。リベリーのドリブルなどでちょっとしたリズムの変化は生まれていたけれども、あとはパワーとスピードで押し切ってしまおうといった感じで、持ち前のフィジカルを生かす術というものを知っている選手が少なかった。

 逆に、日本は体が小さいながらも、いろんなイメージを駆使してフランスゴールを脅かした。そして最後に、「それじゃあ、勝てないよ。ゴールはこうして決めるんだよ」というのを、フランスに教えてあげたような気がする。

 さて、次はブラジル戦。まず守備では、相手の個人技で、チェックにいった選手のマークをはがされないことが大事になる。その回数が増えれば増えるほど、ブラジルは周囲の選手もうまく絡んできて、リズムが乗ってくる。そうなると、フランスとは違ってゴール前のイマジネーションもあるから、かなりのピンチを招く結果になるだろう。それを回避するためにも、最初のチェックを厳しくいって、出鼻をくじくことが大切だ。

 攻撃は、本田圭佑が出場できるならば、彼と1トップの選手との絡みが増えてくるだろうから、その関係性をサイドの香川や清武らがどう生かすかが重要になる。「生かす」というのは、彼らが本田と1トップの動きに連動して、インサイドに入ってきたり、ポジションに流動性を持たせながらサイドバックの上がりをサポートしたり、これまでに培ってきた形を実践すること。それができれば、ブラジルはフランスほど組織的ではないだけに後手に回って、日本の攻撃的なシーンが増すはず。そしてそこから、今度はシュートの数を増やしていってほしい。

著者プロフィール

  • 名波 浩

    名波 浩 (ななみ・ひろし)

    1972年11月28日生まれ。静岡県藤枝市出身。1995年、ジュビロ磐田に入団し一時代を築く。日本代表では10番を背負い初のW杯出場に貢献した。引退後は、ジュビロ磐田のアドバイザーを務めるとともに、テレビ朝日『やべっちF.C.』などサッカー解説者として活躍

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