【日本代表】格の違いを見せるも辛勝。
イラク戦で感じた物足りなさの正体

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato


 にもかかわらず、相手のプレッシャーをまともに受け、イラクが得意とするフィジカルコンタクトの勝負に引きずりこまれた。「ボールホルダーに対して、周りの選手がスペースを探してパスを受けるという現象が、多く出れば出るほどいい形が増える」とザッケローニ監督。その言葉を受けるように長谷部もまた、「オフ・ザ・ボール(ボールを持っていないとき)の動きでもう少し工夫が必要だった。うちのよさが消された」と口にした。

 余裕のないパスワークに終始した日本の攻撃は、やはり物足りないものだったと言わざるをえない。

 リズムに乗れないながらも、「トレーニングでやっていた形」(前田遼一)だというスローインからのプレイで、したたかにゴールを陥れた。その後の展開は、「1-0で勝っていたから、無理はしなかった」(遠藤)という面もあるのだろう。終わってみれば手堅く勝ち点3を獲得しているあたりは、アジアにおいて日本が格の違う存在であることの証明である。

 しかし、だからこそ、残念でもあった。イラクが厳しいマンツーマンディフェンスを採用してきたことは、「日本強し」をさらに印象づける絶好のチャンスでもあったのだ。

 20代前半の選手がズラリと並び、経験の乏しさをカバーするかのように愚直に追い回してくるイラク代表を、悠々と翻弄する。そんな日本代表が見たかった。

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