【ヤングなでしこ】
田中陽子という才能は、いかにして育ってきたのか?

  • 早草紀子●取材・文 text by Hayakusa Noriko
  • photo by Hayakusa Noriko

グループリーグ3試合で4得点。攻撃の中心として躍動する田中陽子グループリーグ3試合で4得点。攻撃の中心として躍動する田中陽子 なでしこジャパンのオリンピック銀メダル獲得の熱狂をそのまま受け継いだヤングなでしこ――U-20女子代表。彼女たちは現在、日本で開催されているFIFA U-20女子W杯で熱戦を繰り広げている。

 開幕戦からの2戦を宮城で戦ったヤングなでしこたちが国立競技場へ姿を現したのは第3戦から。東京で行なわれたその試合には約16000人もの観客が彼女たちのプレイを一目見ようと足を運んだ。

 その中でひと際大きな声援を受けていたのが、157㎝と小柄ながら、相手を抜き去るフェイント、そして左右蹴り分けることができるFK――と、トリッキーなプレイでスタジアムを沸かせた田中陽子だった。

 田中は現在19歳。彼女が15歳のとき行なわれた2008年FIFA U-17女子W杯では、このとき世界的にブレイクした岩渕真奈(現在19歳)とともに飛び級で参戦、続く2010年大会にも連続出場している。

 田中はJFAアカデミー福島の第1期生である。JFAとしても、まだ手探りの中スタートした中高一貫教育という環境作りの中、間違いなく日本トップレベルのサッカーエリート教育を毎日のトレーニングで体得してきた。

 蹴る、止める技術は簡単なようでいて、その基本がしっかりと身についているユース年代の選手は実は少ない。JFAアカデミーではその基本の部分で一切の妥協は許されなかった。加えて親元を離れての寮生活。

「最初は寂しいと思うこともあったけど、でもみんながいるし、先輩もいろいろ話を聞いてくれるし、今は平気!」

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