【ヤングなでしこ】
田中陽子が左右両足FKを身につけた「きっかけ」

  • 早草紀子●取材・文 text by Hayakusa Noriko
  • photo by Hayakusa Noriko

FKを右足と左足でそれぞれ1ゴールずつ決めた田中陽子FKを右足と左足でそれぞれ1ゴールずつ決めた田中陽子 FIFA U-20女子W杯第3戦が行なわれ、ヤングなでしこがスイスを4-0で破り、グループA1位で決勝トーナメント進出を決めた。

 1位通過を狙う日本は、積極的に攻め上がった。ボランチに入った田中陽子からのスルーパスを受けた柴田華絵がシュートを放った6分の場面を皮切りに、途切れることなく攻め続けた。日本の先制点が入ったのは30分。田中陽自身が倒されて得たFKを右足で左上隅に決めた。

「指示は横山(久美)に蹴らせろってことだったんですが......」と苦笑いを浮かべる吉田弘監督を横目に「指示は聞こえなかったので、久美(横山)と話して決めました。狙い通りだった」と返す田中陽。見事なFKでの先制点だった。

 波状攻撃は続く。田中美南(みな)のシュートがポストを直撃すれば、道上彩花のボレーはサイドネット。多くの見せ場を作りながら、追加点が生まれたのは後半立ち上がりの47分のこと。再び田中陽のFKだった。貴重な2点目。1点目は右足だったが、今度はその左足から生み出された。

 その5分後には後半からピッチに立った西川明花がCKからのこぼれ球をしっかりと振り抜いてのゴール。ダメ押しとなる4点目は、猶本光の突破から得たPKを本人が決めた。終わってみれば、スイスのシュートを前半の1本のみにおさえ、4ゴールの完封勝利で1位通過を果たした。

 順当といえば順当である。狙い通りの1位通過。しかし、日本が属するグループAはやや組み合わせに恵まれたことは他のグループを見ても明らかだ。さらに最終戦の相手のスイスはすでにグループリーグ敗退が決まっているチーム。4ゴールを挙げたとはいえ、すべてセットプレイからのもので、相手を崩してのゴールが皆無というのはあまりにも寂しい。

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