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【なでしこ】夢舞台で躍動した川澄。転機になった5年前のアクシデント

  • 柳川悠二●文 text by Yanagawa Yuji
  • 田口有史●撮影 photo by Taguchi Yukihito

五輪初戦のカナダ戦でファインゴールを決めた川澄。五輪初戦のカナダ戦でファインゴールを決めた川澄。 ロンドン五輪開幕前のインタビューで、川澄奈穂美は大舞台に挑むアスリートらしいフレーズを幾度も口にしていた。

「『五輪を楽しみたい』なんていうと、いろいろ批判されてしまいますど、アスリートにとって"楽しむ"とは、勝ちにいくということだと思います。私もロンドンでは楽しみながら勝負にこだわって、もう一度、世界一を獲りにいきたい。出場するだけの大会にはしたくない」

 その言葉通り、川澄は初戦のカナダ戦で先制ゴールを決めると、決勝のタイムアップまでピッチ上を美しく躍動した。左サイドから何度となくチャンスを演出し、素早い切り替えで守備もフォロー。無尽蔵のスタミナでフィールドをかけずり回った。

 世界一には届かなかった。しかし、劣勢を強いられた準々決勝のブラジル戦と準決勝のフランス戦を勝ち抜き、決勝のアメリカ戦では互角以上のサッカーができた。自身とチームの「成長」を実感したに違いない。

「正念場だったブラジル戦やフランス戦は気持ちで勝った試合でした。そういう苦しい試合を続けてきて、決勝が一番いい内容だったと思います。最後の最後まで金メダルに対して挑戦できたことはすごくよかったかなと。常にどんな大会でも、どんな試合でもちょっとずつ自分やチームが成長していければと思って私はサッカーを続けている。なでしこのチーム力のすごさを改めて実感しました」

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