【名波浩の視点】オーストラリア戦で改めて感じた「4番」「10番」コンビの重要性

  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

オーストラリア戦でも栗原勇蔵のゴールをアシストするなど存在感を示した本田圭佑。オーストラリア戦でも栗原勇蔵のゴールをアシストするなど存在感を示した本田圭佑。 W杯最終予選の第3戦、日本はアウェーでオーストラリアと対戦。1-1の引き分けに終わった。

 立ち上がりに仕掛けてきたのは、オーストラリアだった。試合後に今野泰幸と栗原勇蔵が「あそこまで徹底してくるとは......」と嘆くほど、頻繁にロングボールを放り込み、ケーヒルのヘディングはもちろん、前線でのケーヒルとアレックスのキープ力、体の使い方のうまさを生かした攻撃を繰り返してきた。

 そうした状況で、今野と栗原のコンビは最初、互いに人に引っ張られたり、スペースを空けてしまったりすることがあって、そのギャップをオーストラリアにうまく使われていた。加えて、相手の能力の高さをリスペクトするあまり、引いて対応してしまい、何度かピンチが訪れた。

 それでも、最終的にはよく踏ん張ったと思う。ザッケローニ監督が高いラインを保つようにずっと叫び続けていたけれども、徐々にその指示にも応えて、開始15分を過ぎたあたりからは、相手とうまく駆け引きしながらズルズルと下がることもなく、いいタイミングでボールを入れさせることも少なくなった。

 守備が安定し出すと、1戦目、2戦目同様、いい攻撃につながった。攻撃に時間をかけて、ポゼッションしながら機を見て突破する形をどんどん作ろうとしていた。結果、オーストラリアも前線の選手が自陣まで戻らなければいけない状況となり、攻撃へのパワーが減少。日本の攻守の循環が非常に良くなって、多くのシュートチャンスを生み出すことができた。

 なかでも、香川真司がキレていた。予選3試合ではいちばんの出来だったと思う。バイタルエリアで前を向こうと意識し、そこにタイミングよく入ってきて、ボールもタイミングよく出てきた。それも、ほとんど前を向いて受けられた。予選前に行なったアゼルバイジャン戦を含めても、香川があれだけ前を向いてプレイできたのは初めてだと思う。

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