2012.06.12

【なでしこ】リーグ屈指の名勝負で躍動した
岩渕真奈の「成長」と「悔し涙」

  • 早草紀子●取材・文 text by Hayakusa Noriko
  • photo by Hayakusa Noriko

なでしこジャパンの大野と岩清水の激突など、多くの見せ場があったINAC対ベレーザの天王山。 なでしこリーグ前半戦の最後を飾る注目の一戦が、6月10日に国立競技場で行なわれた。首位のINAC神戸と、勝点2差で迫る2位の日テレ・ベレーザとの頂上決戦だ。国立には1万6000人を越す観客がつめかけた。

 この試合には、いくつもの見どころがあった。澤穂希、大野忍、近賀ゆかり、南山千明らは、かつてベレーザに所属していたスター選手だった。チームの経営難から苦渋の決断をして移籍した先がINAC。互いに複雑な胸の内を抱えての対決だ。さらに昨季、あと一歩のところでINACに追いつくことができなかったベレーザ。今季にかける思いは強く、前半戦の天王山であるこの試合には、相当な覚悟を持って挑んでいた。そのうえ、両チーム合わせて11名ものなでしこジャパンメンバーが集結。豪華な顔ぶれがズラリとそろい、あらゆる面でビッグゲームだった。

 ポイントは、中盤をどちらが支配するか。ベレーザは伊藤香菜子や原菜摘子といったテクニシャンがそろう中盤に、今季から阪口夢穂という強力なキーパーソンが加わり、創造性がプラスされた。一方、INACもボランチには澤、スピードとパワーを備えたチ・ソヨン、攻撃の起点として欠かせない存在となる大野といった厚い戦力を誇る。試合は予想どおり、序盤からスピード感あふれる展開で、目まぐるしく攻守が切り替わった。

 そして32分には、最初の見せ場が訪れた。ボールを持った大野と阪口とのガチンコシーンだ。大野はボールをさばかずに、あえて真っ向勝負の間合いを取る。それを受けて立つ阪口。誰もがその勝負に手出しはしなかった。結果、仕掛けた大野が阪口をかわしたように見えたものの、最後まで粘りを見せた阪口がスライディングで対応。大野のシュートはバーを越えていった。