【名波浩の視点】今の日本なら、
オーストラリアを超えて欧州レベルに迫れる

  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

ヨルダン戦で先制ゴールを決めた前田遼一。的確な動きと安定したボールさばきで前線の起点となった。ヨルダン戦で先制ゴールを決めた前田遼一。的確な動きと安定したボールさばきで前線の起点となった。 オマーン戦の快勝に続いて、W杯最終予選第2戦のヨルダン戦も6-0と圧勝した日本代表。2試合を通して際立っていたのは、やはりディフェンスだ。

 ザッケローニ監督は選手たちに高い守備意識を徹底。守りに入るスターティングポジションと、コンパクトフィールドを保持するための指示を、ゲーム中、ずっと言い続けていた。少しでも綻(ほころ)びが見えると、すかさず選手を呼んで修正し、そうした守備の充実がいい攻撃を生んでいる、そんな内容の2戦だった。

 ゆえにこの日も、最終ラインから高い位置をキープ。ヨルダンがやみくもにロングボールを蹴り込んで来ないという事前情報も入っていたのだろう、くさびのボールに対しては完全に狙って対応。ことごとく相手の攻撃の出鼻をくじいた。その結果、前線の選手は自陣深くまで戻らなくて済むため、これがまた、攻撃陣にプラスに作用した。

 安定した守備に支えられ、攻撃もオマーン戦同様、立ち上がりから積極的な仕掛けを披露。前の試合でうまくいった形をそのまま再現し、先制ゴールを奪って試合の主導権を握った。そして、そこから2点目を奪うまでのゲームマネジメントが非常に理想的な形で、まさにパーフェクトな出来だった。

 特に2点目は、相手の背後を狙って、いろいろな選手が止まらずに動き回ることで、本田圭佑の抜け出すスペースができた。あの形が生まれるところが、このチームのいちばんのストロングポイントだと思う。

 それをうながしているのは、両翼だ。右の内田篤人&岡崎慎司、左の長友佑都&香川真司という、両サイドそれぞれのコンビネーションが抜群で、彼らがボールをこねたり、考えてからプレイしたりすることなく、プレイを一切止めずに継続して動いているから、いい形が作り出せる。そして、彼らの動きに呼応して、本田や前田遼一が的確な動きを見せ、そこに両サイドからいいボールが入ってくるから、決定機が生まれる。要するに、日本がバリエーション豊富な得点パターンを見せられるのは、攻撃時における引き出しの多さが両翼にあるからだと思う。

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