【五輪代表】左からの新たな可能性を感じさせる、もうひとりの「酒井」

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • 赤木真二●撮影 photo by Akagi Shinji

今季、ブンデスリーガで着実に実績を積んできた酒井高徳。トゥーロン国際でも安定したプレイを見せた。今季、ブンデスリーガで着実に実績を積んできた酒井高徳。トゥーロン国際でも安定したプレイを見せた。 ロンドン五輪に挑む、U-23日本代表。2大会連続でU-20W杯出場を逃したこの世代にとって、海外組の経験は貴重だ。今回、トゥーロン国際で、そのことはより明らかになった。

 というのも、多くの国内組にとって、初めて体験する本格的な"世界戦"、ほとんどの選手が世界の当たりの激しさ、強さ、そしてスピードに戸惑いを見せたからだ。特に、既存のメンバーを中心にして臨んだトルコ戦では、それが目立った。

 一方、海外組の選手は混乱することなく、常に落ち着いたプレイを見せていた。勝利した2戦目のオランダ戦でも活躍したように、日常から欧州に身を投じている選手たちにとっては当たり前のレベル。これまでの招集機会が決して多いわけではないにもかかわらず、"1対1"を苦にしない分、のびのびと戦っていた。

 海外組唯一のDF酒井高徳も、そのひとりだ。トルコ戦では混乱するチームメイトを尻目に、サイドの1対1の場面では冷静に対処し、強さと安定感のある守備を見せた。ゆえに、国内組と海外組との差を、彼自身、少なからず感じたという。

「プレッシャーに行くときに、体を預けてまで行っていないから、(相手に)ターンされたりして、ボールを取り切れない。ヨーロッパの選手はアジアとは違う"強さ"を持っていますから。ただ自分も、今でこそ体が大きくて、太いドイツ人相手にボールを目がけて取りに行くプレイができるようになったけど、最初は痛いんじゃないかと思って怖かった。今回、それを初めて経験する選手が多かった。そういう意味では、みんなの気持ちは良くわかるし、何試合か経験すれば、みんなも慣れてくるとは思う」

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