工藤公康新監督のもとで「あの魔球」は復活するか? 柳裕也が大学時代に投げていた驚愕の110キロカーブ (3ページ目)
球歴も、実力も、十分にすごい投手なのに、やさしそうな表情で、とつとつと話す語り口には、本人が言うとおりの「普通感」が漂っていた。
私は、柳の故郷を知っていた。宮崎県都城市。
遠くに山々を望む土地だが、盆地と呼ぶには平らな土地が広々と続き、町場から少し離れれば、もう田んぼか畑。のどかさを絵に描いたような場所で、柳は15歳まで育った。
毎年2月のプロ野球・宮崎キャンプ取材では、宮崎市内のホテルが高額なこともあって、もうだいぶ前から都城に宿を取り、そこから宮崎へ、日南へ、鹿児島へ......。レンタカーで走り回っているから、都城の風土は肌で感じているつもりだった。
「『どんなところ?』ってよく聞かれるんですけど、『田舎なんですよ』って言うと、それで終わっちゃうんですよね(笑)」
本人が言う「田舎育ち」のよさを、そのまま内に秘めているような青年だった。
ところが、ひとたびマウンドに上がれば、もうひとりの「柳裕也」が現れる。おだやかな表情はそのままに、強打者たちをバッサバッサと斬り捨てていく。
1年で20勝するような投手にはならないかもしれない。けれど、毎年10勝を10年間続けられるピッチャーになれるように思うよ......。そんな勝手な未来予想図を披露すると、柳はうんうんとうなずいてくれた。
「自分も、絶対そっちのほうだと思っています。そういうふうに見てもらえたら、自分もうれしいです」
将来のことを話しても、妙に燃え上がるようなところはない。いつも、都城の景色のようにフラットで、物静かな口調を崩さなかった。
【消えた魔球はよみがえるのか】
2016年のドラフト1位で中日に入団。さすがに「10年連続10勝」というわけにはいかなかったが、2019年には初の2ケタ勝利となる11勝(7敗)をマーク。2021年にも11勝(6敗)を挙げ、最優秀防御率(2.20)と最多奪三振(168)のタイトルを獲得した。
2026年は開幕投手を務め、24試合に登板して7勝5敗、防御率2.34。3年ぶりに規定投球回にも到達した。プロ10年間で積み重ねた白星は58勝。32歳と、まだまだ老け込む年齢ではない。
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