工藤公康新監督のもとで「あの魔球」は復活するか? 柳裕也が大学時代に投げていた驚愕の110キロカーブ (2ページ目)
【ホームベース手前で垂直落下】
ミットを低めに構えて待つ。
ワインドアップからスッと左足を上げ、そこからガッと踏み込んでくる。その刹那、右腕が上がり、ビュン! と腕が振られた。
ボールは高く浮き上がるように見えたかと思うと、ホームベースの手前から、ほぼ垂直に折れ曲がってきた。言葉にすればこうなるが、現実にはほんの一瞬の出来事だ。
速い! 110キロの柳のカーブが、速い!
地面スレスレで、ようやくミットがボールをつかまえた。
「善波さん、柳くんのカーブ、真っすぐより速いですよ!」
隣で別の投手を指導していた善波監督に向かって、思わず叫んでしまった。
「それしか取り柄がないですから!」
ユーモアを交えて返してくれた善波監督と、その横で照れくさそうに笑っている柳。ふたりのおだやかな笑顔が、今も忘れられない。まるで実の父と息子のような、ほほえましいやり取りだった。なんだか、うらやましくさえ思えた。
カーブを3球続けて投げてもらった。やはり、そうだ。打者の目の高さ付近まで真っすぐに迫ってきて、そこから一気に垂直落下する。本物のカーブは、「ドロン」とは落ちない。昔から使われてきたそんな常套句は、まったく当てはまらないのだ。
110キロ前後でも、立派な高速変化球だ。だからこそ、打者はスイングが遅れ、打ち損じたり、空振り三振に倒れたりする。打者が完全に振り遅れるのだから、もしかしたら150キロのストレートと同等か、それ以上に打ちにくいのかもしれない。
なんでもない変化球に見えていた柳のカーブは、とんでもない魔球だったのだ。これだから、投手のボールというものは、実際に受けてみなければわからない。
【都城が育んだ強さとやさしさ】
「横浜高(神奈川)のエースで、大学でも早くからリーグ戦で投げさせてもらっているのは事実なんですけど、自分なんて、中学までは九州の田舎で、ただ楽しいだけ、好きなだけで野球をやっていただけなんで、自分がすごいなんて一度も思ったことないんですよ。だって、ここ(明治大野球部)には、中学から"スーパー中学生"と騒がれて、全国で勝ったりしている選手が何人もいますから......」
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