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【日本シリーズ】横浜スタジアムが凍りついた初球 ソフトバンク正木智也「幻の一発」の衝撃 (3ページ目)

  • 田尻耕太郎●文 text by Kotaro Tajiri

【ひと振りで球場の空気を変える男】

 もし日本シリーズ第1戦でプレーボール本塁打を放っていれば、史上初の快挙だった。あと少しのところで球史に名を刻むことはできなかったものの、正木は試合の流れを変える力を持っている打者であることを、あらためて証明したように見えた。

 そして日本シリーズ第1戦は、頂上決戦にふさわしい大熱戦となった。延長11回、4時間12分の激闘はソフトバンクが3対1で制した。ただ、DeNAにも勝機は十分にあった。ここまで勝ち上がってきたチーム同士の対戦だけに、やはり紙一重の戦いだ。

 正木は第1打席、初球の大ファウルのあと、6球目に痛烈な打球を放ったが、二塁ゴロに倒れた。しかし、第2打席では詰まった当たりが右翼前に落ち、待望の安打を記録。10回には中前安打も放ち、2安打をマークした。

 完璧にとらえた打球がファウルになり、詰まった打球が安打になる。やはり野球は不可思議だ。

「2戦目は初球を打たないかもしれませんよ(笑)。内緒です」

 正木の初回の第1打席には、何かが起こりそうな期待感がある。見ていてワクワクする。次はどんなひと振りを見せてくれるのか。そんな想像をかき立てる打者だ。

 たった1球で球場の空気を変え、観客の心をつかむ。スターに求められる資質を備えつつある鷹のリードオフマンから、今後も目が離せない。

著者プロフィール

  • 田尻耕太郎

    田尻耕太郎 (たじり・こうたろう)

    1978年生まれ、熊本市出身。 法政大学で「スポーツ法政新聞」に所属。 卒業後に『月刊ホークス』の編集記者となり、2004年8月に独立。 九州・福岡を拠点に、ホークスを中心に取材活動を続け、雑誌媒体などに執筆している。

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