【プロ野球】掛布雅之が指摘する「今の阪神に足りないもの」 1985年のチームよりもつながりを感じない (4ページ目)
【守備のつながりがもたらすもの】
――打線に話を戻すと、85年は上位打線だけではなく、6~8番もある程度固定されていましたね。
掛布 6番の佐野さんが120試合出て、7番の平田が125試合、8番の木戸が103試合に出ていて、ほぼスタメンが固定できていましたし、それが守る野球にもつながっていました。今は「6番が固定できない」などと言われますが、それは守りが固定できないからです。
立石が開幕前にケガをせず、順調に調整できていたら、おそらく立石がサードで、佐藤がライトでしたかね。そうなれば、森下か近本がレフトでも構わないのですが、外野が固定できて、不確定なのはショートだけだったはず。その場合は(打力が高くなくても)守るだけのショートでもよかったかもしれません。
――6番は立石選手が適しているでしょうか?
掛布 それがベターですし、大山が6番、森下が5番、立石が3番でもよかったかもしれません。あくまで立石が開幕前にケガをせず、順調に調整できていた場合の話ですが。ただ、繰り返しになりますが、打線や打順がどうのこうのというよりも、ポジションを固定できるかどうかですよ。
例えば、ピッチャーのボールは、その日によって調子のよし悪しがありますよね。仮に村上頌樹が投げている時に僕が守っていて、「今日の村上は、調子があまりよくないな」と思ったら、「普段は三塁線なんか抜かれないピッチャーだけど、いつもより強い打球が三塁線にくるかもしれない」と予測できます。それって、レギュラーだからこそわかるピッチャーの好不調なんです。
たまに使われる野手の場合、そんなことよりも「ミスしちゃダメだ」「結果を出さなきゃいけない」と自分のことを考えますから、周囲が見えないんです。だから、ショートで起用されることが多くなってきた元山飛優も(7月25日の巨人戦で)痛いエラーが出た。その時、誰も声をかけなかったことも気になりましたね。
――先ほど言われていた「内野のつながりを感じない」という点でしょうか?
掛布 そうですね。僕がエラーをした時は、ベンチ裏で平田が「まぁ、しょうがないですよ。気にしないでください」「今のは捕らないとダメですよ」と声をかけてきたり、逆に平田に対して僕が言ったり。あと、僕らは「三遊間にきたゴロは、絶対に全部とめようぜ」って言い合っていましたよ。そういうつながりが、攻撃にもつながるんだと思います。今の阪神は、まずはポジションを固定できるか。その上で打順をどうするかということになるでしょう。とにかく、今後も注目していきたいと思います。
【プロフィール】
掛布雅之(かけふ・まさゆき)
1955年5月9日、千葉県生まれ。習志野高校を卒業後、1973年にドラフト6位で阪神に入団。本塁打王3回、打点王1回、ベストナイン7回、ダイヤモンドグラブ賞6回、オールスターゲーム10年連続出場などの成績を残した。球団初の日本一になった1985年は不動の四番打者として活躍。1988年に現役を引退した後は、阪神のGM付育成&打撃コーディネーター、2軍監督、オーナー付シニア・エグゼクティブ・アドバイザー、HANSHIN LEGEND TELLERなどを歴任。野球解説者や評論家、YouTubeなどにも活躍の場を広げている。
著者プロフィール
浜田哲男 (はまだ・てつお)
千葉県出身。専修大学を卒業後、広告業界でのマーケティングプランナー・ライター業を経て独立。『ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)』の取材をはじめ、複数のスポーツ・エンタメ系メディアで企画・編集・執筆に携わる。『Sportiva(スポルティーバ)』で「野球人生を変えた名将の言動」を連載中。『カレーの世界史』(SBビジュアル新書)など幅広いジャンルでの編集協力も多数。
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