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【WBC2026】侍ジャパンが見せつけられた世界との差は何か? 小早川毅彦が断言「もうスモールベースボールでは勝てない」 (4ページ目)

  • 木村公一●文 text by Koichi Kimura

── ということは、今やNPBの選手であっても、メジャーリーガーに匹敵するレベルでなければ通用しない大会になってきている、ということでしょうか。

小早川 そうですね。今のように日本人選手のメジャー挑戦が増えていけば、いずれはメジャーリーグ所属の選手を中心としたチーム構成になっていくでしょう。ただ、野球は9つのポジションで成り立っていますから、ショートやセンターには守備力の高い選手を置くという考え方は変わりません。これはアメリカや他国の代表チームでも同じですからね。

【WBCにピッチクロックは必要か?】

── 日本は、野球そのものを変える必要はありますか。

小早川 それは今のままでいいと思います。戦術面では、まだ日本のほうが優れている部分があります。試合中の牽制やフォーメーションなどですね。日本人は全員が「高校球児」でしたから(笑)。高校野球でそういう基本的な戦術をすべて教わっている。これは強みです。

── ルールに関していえば、NPBの選手会などから「アメリカに近いルール(ピッチクロック等)を採用してほしい」という声があるようですが。

小早川 僕の個人的な考えですが、WBCこそピッチクロックは必要ないと思うんです。あれは試合時間を短縮して、お客さんの利便性を高めるためのものでしょう。でも、WBCを見ているお客さんは「早くしろ」なんて思っていない。むしろ、じっくり見たいはずですし、それくらい惹きつけるものがあるすばらしい大会でした。

 それに、10回からのタイブレークも、WBCでは導入する必要はないと考えます。国内リーグ、たとえばメジャーの事情で採用するのは理解できますが、国際大会にまで持ち込む必要はないでしょう。お客さんが一球一球を真剣に見ているなら、退屈に感じることはないと思いますから。

── メジャー組が主軸になると、合流が直前になりチームづくりが難しくなるという意見もあります。

小早川 たしかに、それはあります。ただ、ドミニカやベネズエラの選手たちは「3日一緒に過ごせばもう大丈夫だ、兄弟なんだから」と言って、ホームランが出れば全員で喜びを爆発させていた。あのような気持ちで臨む大会ですから、プロであれば、直前に合流しても十分に機能すると思います。日本も同じです。チームとしてある程度形ができているところにメジャーリーガーが合流し、その動きをさらに大きく、強くしてもらう。それで完成するのではないでしょうか。兎にも角にも、今回のWBCがファンにとっては夢のような時間だったことは間違いないですね。


小早川毅彦(こばやかわ・たけひこ)/1961年11月15日生まれ。広島県出身。PL学園では2度の甲子園出場を果たし、法政大では1年春から4番を務め、4度の優勝に貢献。2年秋のリーグ戦で三冠王を獲得。83年のドラフトで広島から2位で指名され入団。1年目から打率.280、16本塁打を記録し、新人王に輝く。97年にヤクルトに移籍し、開幕の巨人戦で史上3人目の開幕3打席連続本塁打を放つ。99年シーズン限りで現役を引退。現在は、プロ野球、MLBの解説を中心に活躍している。

著者プロフィール

  • 木村公一

    木村公一 (きむらこういち)

    獨協大学卒業後、フリーのスポーツライターに。以後、新聞、雑誌に野球企画を中心に寄稿する一方、漫画原作などもてがける。韓国、台湾などのプロ野球もフォローし、WBCなどの国際大会ではスポーツ専門チャンネルでコメンテーターも務める。

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