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【WBC2026】「悩め、悩め、たくさん悩め」 千賀滉大の金言が種市篤暉を侍ジャパンの若きエース候補へと変えた (3ページ目)

  • 田尻耕太郎●文 text by Tajiri Kotaro

 それを聞いた種市は、室内に設置されたマウンドでシャドーピッチングを何度も繰り返した。そして、一緒に鴻江合宿に参加していたソフトボール金メダリストの上野由岐子からも金言を授かった。

「去年結果を残したと思うけど、自分のやりたいことが一番じゃないよ。いま教わっていることを、自分のやりたいことに加えようとするから難しくなる。素直に、教えてもらったことを最優先するのが大切じゃないかな」

 それから3日後の投球練習、右手の位置も左肩の開きも明らかに改善されていた。千賀には「(フォームへの意識が)まだ全然足りない」とダメ出しされていたが、泣きそうな表情になることはもうなかった。

【自身初の月間MVP受賞】

 その後の種市は、トミー・ジョン手術を受けて2021年は全休するなど苦しいリハビリの時期もあったが、2023年シーズンに自身初の2ケタ勝利を飾って以降はロッテの先発ローテーションの軸へと成長を遂げた。

 昨季は24試合登板で9勝8敗、防御率2.63。自己最多の160回2/3を投げて161奪三振をマークした。球界屈指のエースと呼ぶにはまだ物足りない数字に映るが、昨季終盤の投球は圧巻そのものだった。

 7月末までの成績が、15試合(93回1/3)に登板して3勝7敗、防御率3.57、72奪三振。それが8月以降は、9試合(67回1/3)で6勝1敗、防御率1.60、89奪三振。さらに9・10月度には、自身初の月間MVPも獲得した。

 種市には確かな根拠があった。

「序盤はアームアングルを少し下げて投げていました。ただ、フォークの落ちが悪く、三振を奪えていなかったんです。自分のなかで『何かを変えなければ』と思い、8月5日のソフトバンク戦(ZOZOマリン)から、上半身の反りを強めて投げるようにしたんです。ただ、体と腕の距離は同じ。背中側に倒した分、腕の位置が自然と高くなったんです。するとこの試合で、8回途中までに12個の三振を奪って勝てたんです」

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