【高校野球】投手か打者か、それとも二刀流か 山梨学院・菰田陽生に見る13年前の大谷翔平との符合 (3ページ目)
今の菰田の状況を見ていると、13年前の大谷翔平のケースが思い出される。大谷は花巻東に在学した高校時代、股関節を痛めたこともあり、満足に投球できない時期があった。投手としての練習ができないため、代わりに打撃練習に注力したところ、打撃が開眼。ドラフト会議前には「大谷は投手か、打者か」という論争が沸き起こるほどの存在になった。
菰田も同じような道を歩むのだろうか。だが、菰田の身近には、熱烈な「投手派」が存在する。山梨学院でおもに技術指導を担当する吉田健人部長だ。
吉田部長は「私はピッチャーだと思っています」と一貫して言い続けてきた。関東大会の試合後も、吉田部長はこんな思いを語っている。
「もちろん、バッターとしてプロに行けるだけの素質はあるんですけど、ピッチャーとして大きく育ってほしいなと。もちろん、ピッチャーとしてもまだまだなんですが」
菰田は長身ではあるものの、角度を生かして投げ下ろすタイプの投手ではない。吉田部長はダルビッシュ有(パドレス)のように並進運動を長く取れる、球持ちのいい投手に進化する成功イメージを抱いている。
今後、菰田が二刀流を継続するにしても、投手一本に絞るにしても、底知れない可能性を秘めていることは確かだ。
そして、もうひとつ。菰田の陰に隠れた、功労者の存在を忘れてはいけない。山梨学院の背番号1を背負う檜垣瑠輝斗(ひがき・るきと/2年)だ。今夏の甲子園でも好投した左腕は、今秋の関東大会では武器のカットボールを駆使してチーム最多の16回2/3を投げている。吉田部長は「檜垣の存在があってこそ」と高く評価する。
「檜垣がいるから、菰田を無理させずに使うことができる。頼れるピッチャーが菰田ひとりだったら、こんな起用はできません。どうしても菰田ばかりが注目されますけど、このチームにとって檜垣の存在はものすごく大きいですし、ありがたいと感じています」
秋季関東大会を制した山梨学院は、11月14日に開幕する明治神宮大会へと駒を進めた。秋空の神宮球場で、菰田陽生はどんなパフォーマンスを見せてくれるのか。
怪童の進化を堪能できる時間は、たっぷりと残されている。
著者プロフィール
菊地高弘 (きくち・たかひろ)
1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。
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