【プロ野球】最小兵163センチの体で夢をつかんだ男、広島3位・勝田成 憧れの菊池涼介に堂々のライバル宣言「ポジションを獲りにいく」 (4ページ目)
3年生の頃は、筋肉量の少なさを痛感し、徹底的に筋力トレーニングに取り組んだ。そして4年生になると、筋肉量を維持しながら瞬発力を高めるためのトレーニングにも時間をかけた。
今年の大学日本代表でともに戦った立石正広(創価大→阪神1位)に、トレーニング方法について助言を求めていたことも、大きな転機となったという。
「立石は打球を遠くまで飛ばせるし、強い打球も打てる選手ですが、瞬発力も大事という考えがあると聞きました。実際、立石も瞬発系のトレーニングメニューを取り入れていたので、いろいろと話を聞いて自分も参考にさせてもらいました。さらに、高校時代に学んだ瞬発力を高めるトレーニングも組み合わせたことで、大きく変わることができました」
下級生の頃は、与えられたメニューをただこなすだけだった。しかし、トレーニング方法を見直したことで、その成果は目に見えて表れるようになった。体重自体は昨年より約2キロ増えた程度だったが、脂肪が減り、筋肉量が増えた。
「4年生になって、打球が速くなり、強さが出てきたので、『筋肉がついたんだな』と実感しました。プロの世界でも、ケガをせずに試合に出続けられる選手が活躍していると思うんです。だからこそ、大学のうちから自分で考えて、そうした体づくりを身につけていかなければならないと感じました」
163センチの勝田が正式に広島へ入団すれば、NPBで最も小柄な選手となる。当然、プロの世界で勝負する覚悟はできているが、勝田にはもうひとつ別の思いがある。
「自分が活躍することで、小柄な選手でもやれるんだということを証明したいですね。まずは一軍の舞台で、チームの勝利に貢献できるような選手になりたいと思います」
勝田が「目立つかなと思って......」と、大学1年からずっとつけてきた赤のリストバンドは、広島のチームカラーと一致する。これからは最も赤の似合う、そして小柄な選手に夢や希望を与えられる選手──勝田の挑戦がいよいよ始まる。
著者プロフィール
沢井 史 (さわい・ふみ)
大阪市出身。関西のアマチュア野球を中心に取材活動を続けるスポーツライター。『ベースボールマガジン』『報知高校野球』などの雑誌や、『スポーツナビ』などのweb媒体にも寄稿。2022年7月には初の単著『絶対王者に挑む大阪の監督たち』(竹書房)を出版。共著としても8冊の書籍に寄稿している。
フォトギャラリーを見る
4 / 4

















































