【プロ野球】最小兵163センチの体で夢をつかんだ男、広島3位・勝田成 憧れの菊池涼介に堂々のライバル宣言「ポジションを獲りにいく」 (3ページ目)
坂下(現・パナソニック)は165センチながら、攻守で近大を牽引した2年上の先輩だ。その坂下は、智辯学園(奈良)時代は1年夏からショートを守り、3年夏の奈良大会では新記録となる5本塁打を放ち、U−18高校日本代表の主将も務めた選手だ。近大でも「1番・ショート」としてチームを牽引し、3度のベストナインに輝いた"小さな巨人"だ。
坂下の活躍は、勝田にとって大きな刺激であり、原動力にもなっていた。坂下が近大を卒業したあとは、勝田がチームを引っ張る存在となった。それでも小柄な体格ゆえに、プロを目指すうえでネガティブな言葉をかけられることも少なくなかった。
「自分はずっとプロ野球選手になることを夢見てきました。でも、『おまえの身長では無理だ』といった厳しい言葉をかけられたこともありました。自分は長打力があるタイプではありませんが、"雑草魂"というか、"なにくそ精神"で見返してやろうという思いでここまで頑張ってきました」
身長163センチの勝田成 photo by Sawai Fumiこの記事に関連する写真を見る
【立石正広から学んだトレーニング法】
現時点のNPBで最も小柄な選手は、身長164センチの滝沢夏央(西武)だ。滝沢は2021年に関根学園(新潟)から育成ドラフト2位でプロ入り。軽快なグラブさばきと俊足を武器にアピールを続け、1年目の5月には支配下登録を勝ち取った。今では名手・源田壮亮の後継者とも称され、西武に欠かせない存在へと成長している。
滝沢のような前例があったからこそ、勝田はあきらめなかった。
「小柄な自分でも何ができるのか、どうすれば相手が嫌がるようなプレーができるのか。そんなことを常に考えながら、これまで取り組んできました」
上背こそないものの、勝田の体は太く引き締まり、どっしりとした印象を与える。そんな肉体づくりを意識し始めたのは、昨年に経験したある出来事がきっかけだった。
「昨年、侍ジャパンに選んでいただいた時に、渡部聖弥さん(大阪商業大→西武2位)や西川史礁さん(青山学院大→ロッテ1位)と一緒にプレーする機会がありました。ふたりの体格や筋肉量を見て、自分との差を強く感じたんです。そこから『イチから鍛え直そう』と思い、自分でトレーニングメニューを組みました。その成果が、春のリーグ戦での結果につながったと思います」
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