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【日本シリーズ】崖っぷちの阪神に何が起きているのか 藤川球児監督が38秒の会見で発した言葉に、昨年の小久保裕紀監督の姿を見た (2ページ目)

  • 氏原英明●文 text by Ujihara Hideaki

 1回表に1点を先制したものの、その裏にすぐさま3点を失い、逆転を許してしまう。しかし藤川監督は、ここでデュプランティエの復調を待って、2回も続投させた。だが結果的には、傷口を広げるだけの判断となってしまった。山川穂高に本塁打を浴びるなど、スコアは1対10の完敗。

 先発の抜擢が裏目に出て敗れることは短期決戦では珍しくないが、クライマックスシリーズ・ファイナルから湿りがちだったソフトバンク打線が完全に息を吹き返したのは間違いなかった。

 第3戦は僅差の勝負となった。阪神は初回に1点を先制したものの、その後は追加点を奪えずにいた。すると4回表、山川に2試合連発となる同点弾。さらに6回表には今季好調の柳町達にタイムリー三塁打を浴び勝ち越され、そのまま逃げきられてしまった。

【機能しない5番以降の打順】

 そして第4戦、阪神は2回表にまたも主砲・山川に本塁打を浴び、出鼻をくじかれた。その後は、相手先発・大津亮介の緩急自在のピッチングにタイミングを外され、攻撃のリズムをつかめず、得点を奪えない。

 すると5回に柳町の犠牲フライ、6回には代打・近藤健介にタイムリーを浴びリードを広げられてしまう。

 3点のビハインド。ソフトバンクは6回から継投に入ったが、阪神打線は相手の好守もあり反撃の糸口をつかめず。8回裏にようやくセットアッパーの松本裕樹をとらえて、佐藤輝明のタイムリーと大山悠輔の内野ゴロで1点差に追い上げたが、そこまでだった。

 これまでの試合を通して明らかなのは、"強力打線"と称された攻撃陣の低調ぶりだ。1番・近本光司から4番・佐藤までの上位4人は存在感を見せているものの、チーム全体としての攻撃がまったく機能していない。特に5番以降が湿りっぱなしである。

 この日は6番に前川右京が先発したが無安打。じつは第1戦から4戦まで6番は違う選手が入ったが、起爆剤となる活躍は果たせていない。

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