【プロ野球】サトテルの進化が止まらない! 名コーチ・伊勢孝夫が語る「三冠王獲得」への絶対条件 (3ページ目)
【打率を上げるための条件】
話をタイトルに戻そう。
今の状態なら、本塁打は40本をクリアし、42〜43本には届くのではないか。課題をひとつ挙げるとすれば、本拠地・甲子園以外の球場で稼ぐことだ。言うまでもなく、甲子園は浜風が左打者には不利に働く。ライトからレフト方向へ吹く風を考えれば、ホームランを量産するのは難しい。逆に東京ドームや神宮といった球場でしっかり稼げれば、40本超えはおろか、50本の大台も見えてくる。
ただ三冠王となると、打率も必要になってくる。もともとアベレージヒッターではない上に、チームメイトの近本光司、中野拓夢が好調で、広島の小園海斗もいる。巧打者である彼らを差し置いて、打率3割を目指すのは容易なことではない。
とはいえ、野球人生において三冠王を目指せるというシーズンは、そうあるものではない。ならば、打率を上げるために必要なことは何か。まずは三振を減らし、四球を増やすことだ。4打数1安打と3打数1安打1四球とでは、率が大きく変わる。
今の佐藤を見ていると、以前より確実性が増し、ミート力も上がった。それでも三振数はリーグワーストを記録しており、その多くはボール球に手を出してのものだ。それでも2割8分近くの数字を残しているのは立派なものだが、3割を目指すとなると話が違う。
では、三振を減らし四球を増やすにはどうすればいいか。そのひとつの答えは「フォークを捨てること」である。これができれば相手バッテリーの攻め手は制限され、ストライクゾーンで勝負せざるを得なくなる。
ただ、フォークを見極めるのは容易なことではない。打者からすれば、投手の手を離れた瞬間ストレートに見て、反射的にスイングしてしまうからだ。意識だけで克服できるものではない。
そのなかで打者ができることといえば、目線を少し高めに置き、球種ではなく高さで打つ球を決めることだ。見逃してストライクなら仕方ない。ボール判定ならラッキーと思うくらいの割りきりが必要になってくる。実際、佐藤が空振りしている多くはボール球なのだ。
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